アメリカシロヒトリ

和名(分類):アメリカシロヒトリ(ヒトリガ科)

学名(英名):Hyphantria cunea (Drury) (fall webworm)

寄主植物:人間が生活している環境を好み、森林地帯には侵入していかない。サクラ、リンゴ、コナラ、プラタナス、イタヤカエデなど100種以上の樹木を加害する。

形態・生態:成虫は長さ約1cmで全体に灰白色。卵は寄主植物の葉裏に卵塊で産まれ、孵化した幼虫は、吐いた糸で巣のようなものを作り、その中で群棲して食害する。この時期は葉肉だけを食べるので、被害葉は白くかすり状になる。その後、分散し、単独で葉を食べる。この時期には葉脈も食べるので、被害樹は、丸坊主になることもある。老熟幼虫は長さ約3cmで、各節の背面と側面に小さな瘤があり、そこから白く長い毛が生えている。年2回の発生で、5月中旬〜6月中旬にかけて越冬した蛹から新成虫が羽化し、産卵する。第2回成虫は7月下旬〜9月上旬に現れ、約300〜700粒の卵を産む。東北地方の南部から北には分布できない。
  “アメリカ白灯盗”の名が示すように、侵入害虫の一つで、恐らく、戦後1945年頃にアメリカ軍の貨物について我が国に侵入したものと考えられている。最初、東京、横浜地区で発見され、ついで山手線沿線、中央線沿線に広がり、その後関東地方を中心に分布を拡大した。“灯盗”の名が示すように成虫は灯火に飛来する(この性質の故に、夏の窓を開けた電車に乗って分布を広げたと思われる)。夜明け近くになると♂は♀を求めて飛翔し配偶行動を行うことが知られている。


クワの葉を食害する幼虫(1999年6月26日つくばにて北村實彬撮影)


食害された葉(写真中央に巣のようなものが見える)
(1999年6月26日つくばにて北村實彬撮影)


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