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[IPM:223] ワタヘリクロノメイガの病気(送付可)



IPMMLのみなさん,tisaのみなさん

羽曳野田中寛です。クロスポストをお許しください。

/飼育中のワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)に病気が発生しました。後述の
ように興味深い害虫の病気なので,ご希望の方はお知らせください。ただちに
お送りします。

/ワタヘリクロノメイガは在来種ですが,この2,3年九州〜関東で突如多発し,
殺虫剤感受性が低いために大きな問題になっている,主としてウリ科作物の
害虫です。最新の総説は清水喜一さんが植物防疫54(3)11-17と今月の
農業44(9)92-97(いずれも2000年)に書かれています。清水さんは人工
飼料も開発されました。また,大阪(本年の関西病虫研報)や高知(昨年の
四国植防)などでも殺虫剤感受性検定が行われ,有機リン,カーバメート,
合成ピレスロイド系の大半の薬剤で低い感受性が確認されています。

/今回の虫と病気の概要は次のとおり:2000年8月17日に府下富田林市の
キュウリ圃場で老齢幼虫〜蛹を採集し,25℃で交尾・産卵させ,孵化虫を
キュウリ葉で飼育して得られた若齢幼虫です。昨年と同様のやり方で,
農薬登録試験(日植防委託試験)用に飼育していたのですが(生長点に
食入し,低密度で大きな被害が出るタイプの虫のため,現場の自然発生
条件下での試験が容易でなく,接種が必要),一昨日,昨日と成長速度が
急激に落ち,先ほど調べたところ,300〜400個体のほぼ全てがマヒ
状態になり,一部は死亡・褐変していました(これで今年の試験はパー
です;せっかくキュウリも大きくなったのに・・・(;^_^;))。菌糸・胞子等が
観察されないので糸状菌かウイルスか(あるいは他の病原体か),私の
レベルでは不詳です。このままゴミ箱に直行させるのはもったいない
ように思われるので,お知らせした次第です。

/腐敗等を避け,また,マヒ虫や弱りつつある虫の死亡を遅らせるために,
先ほど冷蔵庫に保存しました。冒頭でお知らせしたとおり,ご入り用の
方はご連絡ください。三等分し,お知らせのあった順に送付します。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内232)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
Business page: http://homepage2.nifty.com/hiroshi-habikino/
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