[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
[IPM:574] ママレモンの効果
畑 琢三様
ママレモンの主成分は界面活性剤です。昆虫やヤスデなどには人間のような肺はな
く、気管系という呼吸システムを持っていて、体表にある気門という小さな穴で呼吸
をしています。昆虫の体表にはワックス層があって通常は水をはじくのですが、薄め
た界面活性剤を昆虫の体表に塗るとはじかれずに体表に広がって気門をふさいでしま
います。このため呼吸できずに死んでしまいます。市販の農薬では、オレート剤がこ
のような作用で虫を殺します。ヨーロッパでは、庭木(バラ)のアブラムシ防除用に
こうした界面活性剤のスプレーが売られています。牛乳をかけて虫を殺すのも、呼吸
できなくさせる点では似たようなものです。
私も家の鉢物にアブラムシが付いたという相談を受けたときなどは、ママレモンを
薄めて筆で虫に塗るようにアドバイスしています(濃いと植物に薬害があります)。
これは、家庭で殺虫剤をまくよりは安全かつ簡便で、コストもかからないという考え
からです。ただし農業現場での使用には、適用登録がないこと、多量に使用するとマ
マレモン(合成洗剤)自体が環境汚染に結びつくことなどからお勧めできません(薬
害もあります)。あくまでも家庭で不快害虫を殺すときの一方法とお考え下さい。
本多健一郎@農研センター
At 8:21 AM 1.1.13 +0900, Takumi.Hata wrote:
> さて、素朴な疑問があります。
> 数年前から沖縄から奄美諸島にかけて、ヤスデ(ヤンバルトサカヤスデ?)が繁殖
>して不快害虫として役場から粒状の農薬が無料で各家庭に配られて駆除されたりして
>います。この状況の中である人が昔からある台所洗剤の商品名「ママレモン」を薄め
>てかけると駆除と忌避ができることを発見して、ちまたに広がっています。それでは
>と、私もアブラムシやアオムシ、こおろぎに、希釈(200倍)したママレモン水を
>試してみたところ、確かに強烈な効果があるのです。(濃いと、薬害症状がでま
>す。)
> そこで、どのような作用でこの虫たちを死にいたらしめるのか?環境への影響は?
>と疑問に思っているのですが、どなたか多少でもご存知の方教えてください。
>
>鹿児島県 畑 琢三
------------------------------------------------------------
Ken-ichiro Honda
Lab. Entomology
National Agriculture Research Center
3-1-1 Kannondai, Tsukuba, Ibaraki 305-8666 JAPAN
TEL : 0298-38-8939
FAX : 0298-38-8837
e-mail: khonda@affrc.go.jp; khonda@narc.affrc.go.jp
Nifty: PGA01661
------------------------------------------------------------