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[IPM:613] 中国天敵利用通信9



総説 アリガタバチ応用研究の進展

 中国医学科学院 中国協和医科大学薬用植物研究所
陳 君等(2000)

種類と分布
 
アリガタバチは全世界では100族650種が知られているが中国では1973年以来の調査で4種が発見されそのうち3種は

新種であった。現在はスギカミキリの一種(Semanotus bifasciatus sinoauster 
Gressitt)に寄生するScleroderma guani Xiao et Wu  を中心に研究されている.
生物学的特性
 Scleroderma guani 
は年5-8世代で,受精した雌成虫がカミキリムシの坑道で越冬する.4月には活動を開始し,カミキリムシの虫糞が詰

まった坑道に侵入する。活動は寄主の麻酔, 
寄主からの吸汁,周囲の清掃,産卵,幼虫保育《雄成虫の羽化まで),新しい寄主の探索とつながる。したがって1頭

の雌成虫は平均136頭の子孫を残す事になる。次世代の雄成虫が羽化すると雌の繭を食い破って雌と交尾する。発育

は23度で一世代53-62日,26度で29-30日寒さには強く1200mmでも越冬する.
人工飼育
色々の甲虫、幼虫が利用可能であるが、現在はアワノメイガ幼虫を用いている.完全合成飼料の研究も行われている

が牛血清が必要なので高価であり、実用は難しい
貯蔵
5、10、15度など保存試験が行われている.
対象害虫
カミキリムシ類(マツノマダラカミキリ,ゴマダラカミキリを含む)。スカシバ,タマムシなど.
放飼技術
カミキリムシ1頭に対して3頭という例が示されている.
林業害虫の防除、薬用植物害虫防除、屋内害虫(シバンムシなど)防除にも適用が研究されている.

日本では前愛媛大学の立川博士の総説が有名であり、最近も高須氏の論文などで幼虫保育の詳細な研究がされている

が,ハマキアリガタバチを除いては天敵としての価値をあまり考えていなかった 
。中国での研究は遠田氏が紹介しているのでご存知の方も多いと思うが、カミキリムシ類の天敵として日本でも研究

する人がいないかなと思わせられた《高木感想)