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[IPM:689] 中国天敵利用通信10



21世紀を迎えて中国生物防除通信も新しい17巻1号を受け取りました。そのバライテイに富んだ課題の論文から

V>2編を紹介したいと思います.

10
コナガ卵に寄生する5種の卵寄生蜂の寄生能力評価(2001)
華南農業大学昆虫生態研究室
何 余容ら 

5種のTrichogrammaとTrichogrammatoideaの能力評価が室内試験で行われた。結果はTrichogramma 

confusum Trichogramma pretiosumが増殖力や生存期間、コナガ卵での短い発育期間などから評価され

た。Trichogrammatoidea bactraeもその高い寄主選択性が評価されたがその他の性質は低かった。

Trichogramma confusum 中国産
Trichogramma pretiosum アメリカ産
Trichogramma trjapitzini 中国産(新種)
Trichogramma bilingensis 中国産
Trichogrammatoidea bactrae オーストラリア

繁殖用の寄主としてはバクガ(Corcyra cephalonica)およびサクサン(Antheraea 
pernyi)の卵を用いた.
評価項目は雌成虫の寿命、日当たり産卵数である。

日本でもTrichogrammatoidea 
sp.は頻繁に採集される。コナガ卵での寄生率は高くはないと思われるが地域によっては有効な働きをしているのか

もしれない。(高木感想)

11
大連市近郊におけるアメリカシロヒトリの寄生性天敵相調査(2001)
遼寧省大連市林業局森防担
楊 秀卿ら  

1980年代にアメリカシロヒトリが大連市に現れ大きな被害を与え始めた。そこで8カ所で越冬蛹や第一世代蛹を主と

した天敵の調査を行った。
85卵塊の卵からは天敵が得られなかった。幼虫からは2種のコマユバチ、蛹からは8種の寄生性天敵が得られた。

幼虫寄生(いずれも新種として記載された)
Dolichogenidea singularis  2-3%
Cotesia gregalis   20%

蛹寄生
Chouioia cunea
Pediobius elasmi
Tetrastichus septentrionalis
Brachymeria lasus
Coccygomimus disparis
Coccygomimus parnasae

寄生性ハエ
Exorista japonica  10%
Compsilura concinnata

日本での最近の研究については勉強不足ではあるが、幼虫に寄生するコマユバチ類については日本でも有用な天敵と

なる可能性があるのではないかと思う(高木感想)