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[IPM:747] ハナカメのバンカー



和田さん、バンカーの情報どうも有り難うございました。私も前回の書き忘れ
がありました。

岡山大の村井さんが何年か前にヨ−ロッパへ行かれた時に聞いてこられ、
教えてもらったのですが、イギリスではバ−ベナをハナカメのバンカープラ
ントに使っているとのことです。試験してみましたが、ハナカメはバ−ベナ
の品種タピアンで、大変良く増えます。タピアンはシロツメクサのように
開花数の変動が少なく、植生の維持もシロツメクサより簡単です。

バ−ベナをハナカメのバンカーに使って半促成栽培ナスでミナミキイロ
アザミウマを対象に実証試験をしたことがあります。バ−ベナに発生が
多いアザミウマの種類はヒラズハナアザミウマ(岡山農試の圃場には
ミカンキイロアザミウマは殆どいない)でしたが、このアザミウマはナス
のハウスに飛び込んでも、ナスには実害は発生しません。タピアンを
ハウスの周囲に栽培すると、半促成栽培のナスではミナミキイロの被
害は減少したようです(ただし、同一年の同一場所に対照区を設けて
いないので、断定はできません)。

但しタピアンをバンカーに使うと問題があります。ナスのハウスの周囲
にタピアンを栽培すると、ナスに芯止まりや奇形葉を発生させる害虫の
ツマグロカスミカメなどもタピアンで大変よく増え、カスミカメによる被害
が発生します。このような問題があるのでバンカープラントで増殖する
害虫についても予め調査してすることが必要です。

イチゴでバンカ−プラントの試験をしたことはありませんが、イチゴでは逆に
ミナミキイウロアザミウマのようなイチゴに被害を発生させないアザミウマが
よく増え、かつハナカメも増える植物を探せばバンカープラントとして利用で
きるかもしれません。しかし、ミナミキイロが加害する作物が付近にある場合
は問題です。

最後に、イチゴでのタイリクヒメハナカメムシ(使用したのは高知産)の利用
についてです。私が行った試験ではヒラズの防除効果は不十分でしたが、
防除に使用できるかどうか、確実なことはわかりません。岡山は寒い所
(内陸的な気候)なので、促成栽培のイチゴではハナカメが使用しにくい
のか、イチゴの品種(品種名は忘れてしまった)と相性が悪かったのか、
また試験方法が悪かったのかもしれません。

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永井 一哉 (Nagai Kazuya)
(自宅)709-0854 岡山県赤磐郡瀬戸町江尻1118-2
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(勤務先)
 岡山農試 野菜・花研究室
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