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[IPM:832] Re:質問「ツヤコバチと昆虫寄生糸状菌に関する情報」



こんにちは。宮大農学部
大野です。

 市毛 さま、皆様

微生物農薬そのものについては他の方が説明されるでしょうから、こちらで気付いた点を。

選択的農薬の使い方とも関係することですが、仮に全く薬剤は天敵に影響なくても、薬剤散布で
対象の害虫(寄主)がいなくなれば、天敵はその後激減(あるいは絶滅)するでしょうね。もち
ろん、その後からコナジラミの再侵入がなければ、それですべてうまくいくのでしょうけど、当
然一部のコナジラミが残って増殖したり、再侵入があると、天敵フリー(いない)状況ができま
すから、再度の薬剤散布が必要となるかもしれません。

 ツヤコバチが微生物に感染した個体を識別し、健全個体を攻撃するという論文ありました(B
T?バシレックス?の話)。しかし、こうした行動と関係なく、とにかく寄主がいなくなれば
(急激に減少)、天敵は激減そして、上述したような状況になります。

 一番良いのは、天敵放飼後に施設の両サイドや出入り口近くなど、コナジラミ類が発生しやす
く、密度高いところに部分的に散布をするという方法ではないでしょうか。これだと天敵との両
立できるように思います。

 この微生物農薬の防除効果がどれくらい高いのかわかりません、もしマイルドなら、つまりあ
る程度コナジラミ類が残るという剤なら、ツヤコバチとの併用でかまなわないように思います
が。ツヤコバチが寄生したコナジラミマミーが正常に発育、羽化できるのかは、上にのべた論文
(確か、Lenteren関連だったと思うのですが、記憶あいまい)を見ないと、あるいはどなたかご
助言下さい。

 以上。この剤や寄生蜂の専門家ではないのですが、IPMとしての剤の使い方から、感じた点
を述べました。


>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>   の微生物農薬「プリファード水和剤」が発売されました。コナジラミ類の卵〜成虫の
>   全ステージに寄生感染する糸状菌製剤です。(すでに、IPM:753-759で、これに似
>   た薬剤である「バターレック」が、このIPMMLでも話題に上がっていました。)
>   
>   そこで、早速、施設栽培でトマトを栽培されている農家の方に、この新薬剤をお奨め
>   したところ、すでにオンシツツヤコバチの「エンストリップ」を導入していましたの
>   で、話の中で、この薬剤を使用することについての問題点が浮かび上がり、ひとつの
>   指摘を受けました。
>   
>   「ツヤコバチは寄生対象が、コナジラミの幼虫なのだから、プリファードを散布する
>   と、その対象が無くなってしまい、ツヤコバチが生息できなくなってしまうのではな
>   いか」というものです。
>   
>   この件に関して、メーカーではほとんど影響はないだろうという見解を持っているよ
>   うですが、ツヤコバチが他の薬剤で弱っている場合には、感染の可能性もありうると
>   いうことでした。残念ながら、薬剤処理にともなうツヤコバチの生育密度の増減デー
>   タは持っていないようです。果たして問題があるのかないのか・・・・・・気になる
>   ところです。
>   
>   どなたかツヤコバチと昆虫寄生糸状菌に関する情報をお持ちではないでしょうか。お
>   教えいただければありがたいです。
>   
>   市毛 和幸 ICHIGE KAZUYUKI
>   茨城県東茨城郡茨城町長岡105
>   ㈱柏屋肥料店
>   ℡029-292-0071
>   E-Mail:ichi-kaz@f7.dion.ne.jp
>

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大野和朗  (Kazuro OHNO)
〒889-2192 宮崎市学園木花台西1−1
宮崎大学農学部食料生産科学科 応用昆虫学研究室
電話&FAX 0985-58-7578 (直通です)
e-mail: ohnok@plant.miyazaki-u.ac.jp
key words:IPM, Biological Control, Insect Ecology
天敵カルテ: http://www.tenteki.org/
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