[IPM:957] Re: テントウムシ（アブラムシ）

[Ken-ichiro Honda <khonda@affrc.go.jp>]

中央農研の本多です。アブラムシの話になったので一言。

>姫路の山下です。
>アブラムシや、テントウムシのことが話題になっていますので、
>ぼくからも、質問させてください。
>最近、バンカープランツのことを耳にすることが多いのですが、
>例えば、ナスの畑の回りにソルゴーを植えて置くと、
>ソルゴーに着くアブラムシは、ナスにはつかないので、
>アブラムシの天敵（テントウムシなど）の餌になってくれるとか。

天敵の餌になるほか、ウイルスを保毒したアブラムシが一度探り吸汁することにより 
無毒化するという効果もあります。

>ぼくの育苗ハウスでは、今年もやっぱりアブラムシが出て、
>ナス、トマト、トウガラシ、インゲンなどにつきました。
>一番最初に見えたのは、ハウスの際に生えた、イネ科の雑草で、
>ゴマみたいなのが、びっしりついて、真っ黒になっていたので、
>そのとき、やばいやばいと、抜いて廻りました。
>今になって考えると、イネ科の雑草に着くアブラムシが、果菜類には着かないと
>したら、勿体ないことをしたのですね。

そうですね。イネ科の雑草につくものはナス科やマメ科の植物にはほとんど付かない 
と思います。
しかしオオイヌノフグリなどにはワタアブラムシが付いていますので、雑草もあまり 
野放しでは問題です。

>ぼくの畑は、割と草まみれでして、ヨメナなどにも、よくアブラムシが着いてい
>ます。
>ぼんぼんが出たので、引いて捨て置いたネギにも、びっしり着いています。

これはネギアブラムシのようですね。この虫も他の野菜類には付かないと思います。

>そこで、教えていただきたいのは、
>アブラムシと作物の相関関係
>（このアブラムシは、イネ科の雑草には着くが、果菜には着かないなど）
>そんなことをまとめた資料は、ありますか？

一般にアブラムシの寄主範囲は狭く、イネ科に付く種類はナス科やマメ科、ウリ科、 
アブラナ科などの野菜には付きません。（有翅虫が偶然飛んでくることはあります 
が、増殖はできません）
ナス科やマメ科、アブラナ科に付くものも、それぞれの科の範囲内で寄生することが 
多いです。例外はモモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラ 
ムシなどです。特にモモアカアブラムシとワタアブラムシは広範な野菜に寄生し、殺 
虫剤抵抗性があり、発生すると厄介です。しかしこの２種もイネ科の植物には寄生し 
ません。
谷口達雄著「アブラムシ　おもしろ生態かしこい防ぎ方」農文協、の53ページには、 
野菜に発生するアブラムシの簡単な寄主植物リストがありますので参考にして下さい 
（リストには一部誤りもありますが、アブラムシの種類と寄主植物の関係を大きく捉 
えるうえでは役立ちます）。

本多健一郎＠中央農研
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        Ken-ichiro Honda
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