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[IPM:238] Re 加藤237チリカブダニ&トマトサビダニ中間情報



加藤さん,みなさん

羽曳野田中寛です。

/加藤さん,いつも新鮮な情報,ありがとうございます。こういうさまざまな
現場ニーズの情報は本当に大事だと思います。ニーズ,感想,意見,
「失敗事例」等々・・・。こういったものが開発や普及技術にフィードバック
されることが次に,その次に,そのまた次につながっていくわけですから・・・。
加藤さんの他にもこういう意見をバンバン出してくださるような農家の友人が
おられたら,ぜひ参加してほしいですね。

At 18:07 00/09/23 +0900, you wrote:
>農家の人もけっこう怒ってました。1回changeしてもまた同じ状態になってしまっ 
>たようです。
>箱の柄はおしゃれですてきでしたが。いくら安くても買いたくないなあって感想です。

$$$ トマトサビダニ中間情報:9月4日に農薬登録のための殺虫剤試験を始め,
2日後,7日後,14日後の調査を終え,効果を判定しました。供試薬剤は
アファーム乳剤,コロマイト乳剤,ハチハチ乳剤で,対照薬剤(慣行薬剤)は
ケルセン乳剤を使用しました。11月に検討会があって承認されるので,
供試薬剤の成績公表はそのあとにしますが,いずれも効果はありました。
トマトサビダニは試験方法・調査方法もまだ定まったものがないので,
試験方法の開発も兼ねています。今回は1区5.4㎡(1.8×3m)で5株の
50cm高,100cm高,150cm高の茎と葉2cm2(ルーペ1視野)あたりの
サビダニ数を調査して評価しました。ケルセン乳剤と無処理の比較だけ
示しておきましょう。

トマト茎および葉2cm2あたりトマトサビダニ虫数
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                     散布前  2日後  7日後  14日後
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ケルセン 茎    3.6       0.1        0        0
               葉    9.3       3.7        0.6      0
無処理    茎   63.2     59.2      17.1     14.3
               葉   43.9     46.6     77.3     20.1
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$$$ 面白い発見は,「ケルセンはよく効いているけれど,葉での効き方が
遅い」ことです(昨年は茎だけの調査なので,このことがわかりません
でした)。原因は簡単で,薬剤の散布ムラです。トマトが繁っているので,
葉裏に薬剤がなかなかかからないのです。現在,ミツバやコマツナで
感水紙(水が付着すると黄色から紫色に変色する紙)を使って,現場で
普及員や農協営農指導員と試験を重ねていますが,ミツバもコマツナも
葉が繁ると葉裏にはホントに薬がかかりません。だから,葉裏にいる
ハダニやコナジラミやコナガに対する効果が低くなってしまうのです
(逆に天敵も生き残ります)。これは実験室内での試験ではわからない
ことです。オンシツツヤコバチの面白い点は,葉裏にも誘導ミサイルのように
到達することなので,こういった天敵の利点,そして薬剤のうまい使い方に
関する情報,およびそれを広く伝えることがますます必要だということが
わかっていただけるでしょうか? この感覚がハダニの防除にもお役に
立てれば幸いです。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内232)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
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