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[IPM:549] ハウス管理温度
大野、高井、田中、柴尾、小澤、加藤、皆様
忙しいのにも関わらず情報寄せていただき有り難うございます。IPMMLの効果を実感
いたしました。天敵の効果をどう計るかは、簡単なことではありません。やってみな
いとわからないともいえます。皆様の情報をもとに、手元の発育ゼロ点の資料と突き
合わせて考えたことを述べます。それが的を得ているかどうかを、皆さんの経験から
ご意見を頂きたいと思います。
管理温度を冬の最低温度に焦点を合わすと、いちご(5-7℃)、トマト、ナス
(8-12)、ブドウ(9-15)、キュウリ(12-13)、スイカ(13-14)、ピーマン(18)、ハウ
スメロン(18-20)、シシトウ(20)と整理しました。ハウスの害虫も天敵も温度反応か
ら3グループに分けられます。害虫はアザミウマ・コナジラミ(10-10.5℃)、ハモ
グリバエ・ハダニ・ホコリダニ(9.0ー9.5)、アブラムシ(6)、捕食天敵はヒメハナ
カメ・テントウ・カブリダニ(11-12.5)、カゲロウ(9.5)、ヒラタアブ(4)、寄生天敵
はエンカルシア(10.5),ハモグリ寄生(8.3)、アブラバチ類(6)です。
これから次のようなことが考えられます。
1.寄生性天敵はホストの発育ゼロ点とそれぞれほぼ一致していて、環境温度を考え
なくてもターゲットの害虫に合わせて天敵をえらべばよい。
2.捕食天敵の高温グループ(11-12.5)と害虫のゼロ点(最高10.5)とはギャプがあ
り、トマト、ナスそしてキュウリも管理最低温度が天敵に不利で害虫が時にはエス
ケープしやすい条件ができやすいのではないか。
3.イチゴのような管理温度の低いものでは、天敵としては寄生性は問題ないが、捕
食性はヒラタアブまたはカゲロウが有望ではないか。
ここでは温度による捕食量と餌動物の増殖率とか、有効積算温度(K)の違い、たと
えばカブリダニはふつうの捕食者と違ってはるかにハダニより世代交代が早いなど、
検討すべきことはたくさんありますが、ハウスの条件一つをとっても農家によって異
なる訳ですから、取りあえず皆さんの経験こそが実験です。発育ゼロ点という概念が
応用的にも役立つかどうかを試してみたいと思います。皆さんのご教示をお待ちしま
す。
PS ラオスにいる友人から、畑に作物の種をまいてもアリがどんどん持っていくの
で何とかならないか。もちろん農薬のような高価なものは使えないので、生物的防除
ができないかと聞いてきました。何かよい知恵があれば教えて下さい。桐谷圭治