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[IPM:550] 中国天敵利用通信6



 
ヒメハナカメムシを微小害虫の防除に利用する研究が日本でも多くなってきました.ただ生物農薬としての研究が多く

,土着天敵としての利用研究は始まったばかりです.そこで中国で行われたヒメハナカメムシの移動分散の実証的な

研究例を紹介します.

リンゴ園の下草と周辺の雑草・畑地と関連するコヒメハナカメムシ(Orius sauteri)の移動・分散行動(1998)

于 毅(YU Yi)ら  中国農業大学昆虫系

調査圃場:北京西郊巨山農場  
リンゴ6ha 8年生新紅星 2m*4mに植栽下草としてムラサキウマゴヤシ(Medicago 
sativea)を樹間に20cmおきに9列播種しその両側に油菜を2列植えた。1933年からは雑草の夏至草(Lagopsi

s spina)とキツネアザミ(Hemistepta cytata)を用いた。通路を隔てて野菜畑が7ha, 
50m離れた場所に春トウモロコシ2ha,夏トウモロコシ4haがあった。
調査法: 
 リンゴ樹上:10株を任意に選び.東・西・南・北・内部の5カ所にわけ、それぞれから2枝ずつヒメカメムシと

アブラムシの総数を記録した。
 リンゴ園の下草:1.3月下旬からD-Vac(背負い式吸引捕虫装置)で植生毎に20カ所924平方センチを20

秒間.週一回調査した。
           2.植生毎に週一回50回のスイ−ピング
           3.草を根から切り取りアブラムシ数を記録、30株週1回

 近辺の野菜については生育時期に30株について主要天敵・害虫数を記録

結果  
ナミヒメハナカメムシの植生間の移動実態

  3月   4月    5月     6月         7月            8月
夏至草 産卵−−増殖−−アブラムシ減少−−枯死
              第一世代成虫出現  性比の低下
ムラサキウマゴヤシ          雌成虫の増加   アブラムシ減少 性比の低下
                                                             
リンゴ樹上                                 雌成虫の増加  アブラムシ 
                            ハダニの減少 性比低下 

野菜・トウモロコシ                                             雌成虫の増加


 
9月には産卵が見られなくなり,雄は交尾後死亡するので雌の比率が高まった。10月以後、雌成虫はリンゴ園の夏至

草やキツネアザミに集まって越冬した.
(色々な場所でのヒメハナカメムシの性比のデ−タが継続的に示されている)

ヒメハナカメムシ成虫の移動実態を性比を指標として推定するするというアイデアは納得できるものがある。今まで

の自分のデ−タを見直したい(高木感想)

 興味のある方は連絡下さればコピ−をファックスで送ります.