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[IPM:587] Re: 本多様 「木酢液はママレモンと同様の見方ですか?」



石塚@日植防です。
いつも殆どROM状態で申し訳ありません。
話題からそれてしまうかもしれませんが「効果」と言う面から
少し書かせていただきます。

>  大変難しい議論にはまってしまったような気がします。[IPM:577]で申し上げた
> ように、「農薬として使用された場合の毒性や残留性の評価が行われていない
> 化学物質について、市販の農薬との優劣を安易に比較することは差し控えた方が
> よい」と思います。
本多さんの仰るようになかなか難しい問題ですね。
仕事柄「木酢液」に類する色々な「健康食品」的農業資材を
ここ数年数多く効果面からチェックしてきました。と言いましても
実際にチェックしているのは当協会研究所のスタッフですが。

 この手の資材は最近の「IPM」や「環境保全」「持続的」な農業
の大きな流れを受けて(?)だいぶ急増してきました。 色々な
雑誌等で堂々とPRされているのもよく見かけますし、ラベルや
パンフ等には農薬取締法にすれすれのものも見受けられ、使用
する農家の方々が誤解されないかなと心配になるものも多いです。
 これらの資材も最近は同類他社と差別化を図るために、公的な
試験研究機関での効能確認の依頼が多くなっています。
でもいろいろ特徴をお伺いした上で試験設計を組み、実際に試験
してみると殆ど効果が認められないものばかりです。 おまけに
ひどい薬害が出たりします。 先日ある会社の「資材」を分析した
ところ当然入っているはずの主成分が確認できなかったと言う事
さえあり、呆れるばかりです。
 この手の「資材」を全否定するつもりはありませんが、やはり
使用者側に立つと、(思いつくままですが)
  1.使用方法(効能)が確立されている
  2.薬害回避等の注意のポイントが押さえられている
  3.含有成分がきちんと表示されていて、ロットごとの成分の
    均一性が保証されている
  4.「自然物」というだけでなく、安全性について最低限の
    確認をして販売する
  5.万能薬的な売り方をしない
最低これくらいは押さえて欲しいものです。

土作りや品種・栽培法の努力をした上でこれらの「資材」を
使うと効果ももう少し現れるのかもしれませんが、農薬を
否定しながら、農薬的使用法により大きな効果が期待できる
ような販売の仕方は生産者ひいては消費者への大きなトラブル
につながりかねないと心配しています。

p.s 農薬取締法によって登録されている近年の農薬は、
毒性や環境負荷については言うまでもなく、上記項目等
使用者や消費者への配慮を第一に、そして最低限保証して
いるものです。