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[IPM:824] 中国天敵利用通信13



中国生物防冶(Vol17 No.3)からです。

中国でも天敵の実用化には苦戦を強いられている様子がうかがわれます。今季号でも室内での研究が並んでいます。しかし、日本の研究とはやや異なる視点もありますので参考にしてください。

1.コナガの2種類の寄生蜂(Diadromuscollaris,Oomyzussokolowskii)の種間競争
  SHIZuhua,F.B.Gebremeskel,LIUShusheng
   InstituteofAppliedEntomology,ZhejianUniversity,Hangzhou

ヒメコバチが蛹を形成した時点からヒメバチの2次寄生が見られるが、2種の共存によって総合的な死亡率は単独の場合より高まるという結論

2.2種のテントウムシ(Harmonia axyridis,Propylaea japonica)の3種類の餌による飼育効果
   GUO Jianyin,WAN Fanghao
   Institute of Biological Control,CAAS, Beijing
 
  1.バクガ卵
  2.キイロタマゴバチ蛹(さく蚕卵による飼育)
  3.モモアカアブラムシ
の三種類の餌で飼育を試みた。キイロタマゴバチ蛹はすでにクサカゲロウ、ヒメハナカメムシ、ナナホシテントウムシの餌として有用であるとされているが、この二種のテントウムシでは成虫までの飼育は順調であったが産卵が見られなかった。羽化後アブラムシを餌として与えたところ産卵が見られた。

捕食性天敵の飼育にキイロタマゴバチ蛹を使うという発想は以前にも紹介しました。今回の論文ではテントウムシ飼育中にアブラムシが不足した場合に補助的な餌として与えるという発想のようです。これはあくまでもキイロタマゴバチの通年連続生産をコスト面から考えての技術ということです。キイロタマゴバチの大量生産は魅力のある技術です。長野県農業試験場ではタマゴバチ類の大量飼育のために、ヒマ蚕の通年大量飼育にチャレンジしているので大いに期待したいと思います。(高木感想)