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[IPM:937] 中国天敵利用通信13
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- Subject: [IPM:937] 中国天敵利用通信13
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- Date: Sat, 13 Apr 2002 05:59:43 -0400 (EDT)
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”中国生物防治”の2002年第1号(Vol 18)が届きました。日本では利用できないような天敵についての報告もありますが、興味深いコメントもありましたので概要をお知らせいたします。興味を持たれた方はご遠慮なくコピーの請求をしてください。
1.コナガに有効なキイロタマゴバチの選択
2.III アブラナ科植物のコナガ以外の害虫に対する3種のキイロタマゴバチの寄生能力
何 余容 等 華南農業大学昆虫生態研究室(広州) 18(1)6-9
3種のキイロタマゴバチ(Trichogramma confusum, T.pretiosum, T.bilingensis)はコナガの卵に対して生物農薬的に使用するが、次世代の出現は期待できない。そこで 非標的害虫の卵でどの程度次世代の出現が期待できるのかが重要である。アブラナ科植物の鱗翅目害虫(モンシロチョウ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ)の卵に対する寄生性を室内で飼育したタマゴバチと野外から採集した害虫の卵で調査した。ハスモンヨトウはすべてのキイロタマゴバチの繁殖に有効であった。モンシロチョウではすべて種で寄生行動は見られたが羽化率は低かった。シロイチモジヨトウではT.pretiosumだけが増殖した。
2.ナミヒメハナカメムシ成虫と卵の冷蔵の影響
郭 建英 等 中国農業科学院生物防治研究所(北京)18(1)10-12
15℃で4日間予冷飼育した成虫を5℃で13,26日間貯蔵してその後の産卵数を調査した。 又大豆の芽だしに生み込んだ卵を5℃で保存してふ化率の調査をした。26日後の生存日数は雌では98日、雄では29日であり27個の産卵が見られ対象区と差がなかった。19日後の卵のふ化率は75%で、その後貯蔵期間の長さに比例して急速に低下した。
3.ツムギアリ(Oecophylla smaragdina)のカンキツ害虫防除における歴史資料
楊 沛 中山大学昆虫研究所 (広州)18(1)28-32
天敵のもっとも古い利用例として中国のカンキツ害虫におけるツムギアリはどんなテキストにも引用されている有名な例です。1700年に及ぶその利用の歴史を豊富な引用文献で解説したものです。内容については興味のある方に任せるとして、この報告の最後にちょっと驚くような記事がありましたので紹介したいと思います。
”最近昆虫が健康食品として歓迎されている。1993年全国で採集された昆虫類は乾燥重量で40トンを超し、10億元(25億円)の生産額とされている。その中にツムギアリも含まれており、天敵としての役割に危機が訪れている。野生動物保護の一環としてツムギアリを健康食品とするのは禁止する必要がある。”
その他にニカメイガの卵寄生蜂の地域や世代による寄生率の変動調査、松のコナカイガラムシ(Oracella acuta)の天敵相調査、ウンカ類(Nilaparvata lugens)に対する複数のクモの組み合わせと捕食効果の報告があった。ヒメハナカメムシの報告では永井氏や梶田氏の論文が引用されているがいずれも以前のもので最新の日本の論文が引用されていないのは寂しいと思われた(高木感想)