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[IPM:1235] 書評Re 和田IPM1232 天敵戦争への誘い



IPMMLのみなさん,agroipmのみなさん,tisaのみなさん
Cc高城さん@誠文堂新光社

羽曳野田中寛です。重複投稿,お許しください。

/和田さんから依頼のあった書評を書きました。遅くなって申しわけ
ありません(和田さんと高城さんには遅くなります,とはおことわり
していましたが・・・)。和田さんの自薦文も末尾に再掲しました
(和田IPM1232)。・・・「大阪立ち食いセンター」はないと思うけど(笑)。

【書名】天敵戦争への誘い(いざない)−小さな作物防衛隊の素顔とは?
【著者】和田哲夫
【刊行】2003年07月30日
【出版】誠文堂新光社,東京
【頁数】135 pp.
【定価】1,400円(消費税別途)
【ISBN】4-416-40311-9
【備考】
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【目次】
まえがき
第1章 天敵戦争への誘い - Take me to the Biocontrol Ball !
1 電話が鳴っているけど誰がとるの?
2 三角関数は忘れた。代数も忘れた。
3 1日の違いってどのくらい?
4 マイ アイデアル - My Ideal is just around the corner
5 降っても晴れても
6 天敵を自分で作る
7 進化する天敵の使い方
8 クロマルハナバチの憂鬱
9 ただそんなものたちのひとつ
10 靴箱と漏斗 天敵の使い方
11 抑止力としての天敵の兵法 - ☆
12 天敵ロボット
13 有機栽培に憂える - Ambiguous Organic Farming
14 房総の雨 - Rain in the Peninsula
15 天敵の巣 - Love nest
16 天敵のコスト
17 海国野菜談
18 北京の蝶が羽ばたけば
19 インテルと天敵産業 - ☆
20 バンカープラント
21 バンカープラント その2 - ☆
22 カビに手伝ってもらう話 - Japan as No.1 humidity
23 長く続ける方法 - Knowledge transfer
24 愚公 山を移す - ☆
25 ちょっとしたことが大きくものを言う - A little language goes a long way
26 温度差はありませんか?
27 静岡ティーパーティー
28 洗練さとは - Siebolt's Diary
29 食べ物の匂いに惹かれて
30 法王庁の抜け穴
31 花の生物防除 - ☆
32 スパイダーマンは悪役か
33 農業はペイするか - ☆
34 日本とアメリカとECの違い - ☆
35 自然とはいうけれど - Nature kills
36 光が見え始めた - Beginning to see the light
第2章 天敵スーパースローウェイ - Biocontrol Super slow way
1 島理論
2 北米,ヨーロッパにおける生物防除と日本の現状
3 見果てぬ夢 - Searching and storage
4 輸入野菜の攻勢に対する防御 - ☆
5 農薬随想
6 レンブラントは綺麗な果物を食べていた - ☆
7 ブッドレアの花 - ☆
8 羅馬雑感
あとがき
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【感想】
のっけから脇道にそれるが,目次とその英語併記を見たとたん,
なんだこれは? ジャズかミュージカルのナンバーのタイトル?
・・・と思ってしまった。読み進めて,そして,あとがきに自分の
肩書を「天敵ジャズ研究家」としてあったので納得(笑)。
上記目次で英語を併記してあるのは共感(もちろん田中の
独断的共感)するところが多く,かつおしゃれなタイトルのもの,
☆は同じく共感するところが多かったが,さほどおしゃれでない
(もちろん田中の独断)ので,あえて英語を併記しなかったもの
である。英語併記は面白いものが多いが,それは読んでの
お楽しみ。

失礼な言い方と取られる恐れもあるが(和田さん,ごめんなさい),
二次会なんかで議論になって田中が時々言うのは「和田さんが
もし他の面全てで大悪人であったとしても,商品天敵をここまで
やってきたことでお釣りがくる」である。試験場は気楽である。
商売じゃないから・・・。でも,日本の厳しい登録制度におかげで
無茶苦茶時間と費用がかかった黎明期を営利企業が粘り強く
持ちこたえたこと自体が,はっきり言って驚嘆ものである。
田中ならば(軟弱だから)途中でギブアップしていたに違いない。
・・・天敵カルテの立ち上げの一因は「日本から商品天敵が
なくなったら(みんなが)損するから,『愚公山を移す』をやって
みようじゃないか」である。でも,商売じゃないから(関西風の
言い方でごめんなさい),どうしても迫力が続かないのが
忸怩たるところ・・・。

この本は和田さんが誠文堂新光社の「農耕と園芸」に3年間
連載したエッセイに,別途エッセイ(第2章)を加えたものである。
一見軽くかまえたエッセイとはいうものの,商売人の迫力と
(絶対必要な)夢付きで,天敵の全体像と個々のノウハウを
(一般向けに書かれていてわかりやすいので,短時間で)
つかむことができる。「天敵をやりたいんですけど・・・」と
言ってくる農家,普及員,JAスタッフにこれまで時間をかけて
あれこれ説明していたことの多くを,「まずはこれを読んでみて」
で済ますことができるのがありがたい。そして,必要に応じて
根本久ら「天敵利用で農薬半減−作物別防除の実際(農文協)」
(IPM1221,agroipm126,tisa1548),マライス&ラーフェンベルグ
(矢野栄二ら訳)「天敵利用の基礎知識(農文協)」,矢野栄二
「天敵—生態と利用技術(養賢堂)」(IPM1186),を渡して
読んでもらう,という気の利いたやり方ができそうである。
・・・一緒に仕事をしながら,時間をかけてあれこれ説明するのも,
今後ももちろん大切であるが・・・。

短所は,ジャズふうタイトルのために,目次だけでは内容が
わかりにくいところ。・・・これは逆に長所でもある。目次だけで
わかったような気になって買わない人が減るから・・・(笑)。
田中も,これ以上立ち入った紹介はしない。

At 16:30 03/07/22 +0900, 和田IPM:1232 wrote:
>アリスタの和田です。
>ちょっと宣伝させてください。
>今年は矢野さん「天敵」、根本さん「天敵利用で農薬半減」と
>天敵の本が出版されましたが、その棹尾を飾るどころか
>汚しかねないかもしれませんが、拙著を先週出版することが
>できましたので、ご興味のある方はご購入いただければ幸いです。
>一冊1400円なので著者割引きと郵送料が同じ程度なので
>本屋で注文していただいても同じ価格です。でも本屋に行くのが
>面倒な方は当方にメールを個人的wada_tetsuo@arysta-ls.comに
>いただければ送付します。
>中身は基本的に天敵利用にあたっての話ですが、雑誌「農耕と
>園芸」に3年にわたり連載したものです。矢野さんの教科書のような
>端整さと内容の濃さ、根本さん編のさまざまな作物での利用の
>可能性と具体性を書いたものにくらべるとかなり見劣りしますが、
>ひとつだけの長所といえば分かりやすく簡単に書いたというところです。
>(そうしか書けないのですが)
>大阪立ち食いセンターの田中寛さんに書評をお願いしております。
>(本はまだ届かないと思いますが)
>
>天敵戦争への誘い・・小さな作物防衛隊の素顔
>著者:和田哲夫
>発行:誠文堂新光社
>本体1400円+税
>A5判
>7月18日発売
>136頁
>連絡先:wada_tetsuo@arysta-ls.com
>
>解説:天敵や微生物を利用して病害虫を防除するバイオコントールに
>ついて日本の現場、世界の情勢を解説。
>実際に天敵を利用するときに直面する問題について理論的、
>経験的バックアップとなる。ソフトな語り口なため読みやすい。
>と自分では思っていますが。
>恐惶謹言
>和田哲夫

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立食とみどりの総合技術センター(2002年4月1日改称)
都市農業部総合防除グループ
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内249)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
田中寛Business page: http://homepage2.nifty.com/hiroshi-habikino/
Web版大阪府園芸植物病害虫図鑑: http://www.afr.pref.osaka.jp/zukan/
天敵カルテ: http://www.tenteki.org/
KTSOS害虫文献データベース: http://riss.narc.affrc.go.jp/ktsos/
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