[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[IPM:1310] Re: ハダニを食べいる幼虫



みなさま、

アリスタの和田です。
確かにコパート社などからスピデンドという名前で数年前から販売されています。
もともとはデンマークなどの研究者が研究した経緯がありました。
日本で開発していない理由は要望がないこと、マーケットがあるかどうか
わからないこと、チリカブリ、ミヤコカブリダニなどですでに充足していると推定さ
れること(もちろん選択
できる商品数が多いほうがいいことはわかっているのですが)、
登録に時間がかかること(試験をできる施設、熟練した研究者不足、効果のふれなど
により)、
などによりまだ登録へもっていくか決断しておりません。
最近は海外の種と日本の種と学名が一緒でも違うというような種もあり、
ややこしくなっていることも一因ですが、このハダニタマバエ(この和名のほうが
ぴったりですね)
が充分効果高く、見通しもあるのであれば日本でも開発したいと思ってはいます。
これ以外にヒラタアブの仲間もやりたいと思っていますが、日本の天敵ビジネスが拡
大して
いけば開発意欲(登録意欲)はよりでてくることと思います。
和田哲夫

-----Original Message-----
From: Junichiro Abe [mailto:abejun@affrc.go.jp]
Sent: Monday, November 10, 2003 9:45 AM
To: IPM@ml.affrc.go.jp
Subject: [IPM:1309] Re: ハダニを食べいる幼虫


藤澤様、皆様

 近中四農研・野菜部で特別研究員をしております安部です。
 ハダニバエに関してですが、現在、この昆虫の和名を『ハダニバエ』から
『ハダニタマバエ』にしたほうが良いのではないかと考えております。
と申しますのも、ハダニを捕食するハエ類は、『ハダニバエ』だけではない
ため、『ハダニバエ』では、非常に分かりにくいためです。

 
>  ハダニバエは、タマバエ科なのですね。ということはショクガタマバエ
>  と近いのでしょうか? そう言えば幼虫の姿が似ていますね。

 確かに『ハダニタマバエ』はタマバエ科ですが、ショクガタマバエに近いか
どうかは、まだ明らかになっておりません。タマバエ科には、ショクガタマバエ
やハダニタマバエのほかにも、カイガラムシやアザミウマを捕食する、数多くの
種が存在します。また、ハダニを捕食するタマバエも1種のみならず、多くの
種が記録されております。


>  素人考えでは、ショクガタマバエが商品化できたのなら、ハダニバエも
>  時期に商品化されるのでは、などと思うのですが、そうは簡単にいかな
>  いのですね。

 ハダニタマバエと同属の『Feltiella acarisuga』という種は、コパート社から
『SPIDEND』という商品名製剤化されており、すでに海外では利用されている
と思います。そのためか、海外ではハダニを捕食するタマバエの基礎生態が
かなり研究されています。

 私は現在、日本産のハダニを捕食するタマバエに種名をつけるべく、日本
各地から採集されたハダニ捕食性タマバエの標本を調べております。
現在のところ、わが国から採集された種はFeltiella属に属するもののみですが、
今後もさらに調べる必要があります。

 つきましては、皆様の日頃の圃場作業や調査・研究の折に、ハダニを捕食
するタマバエを発見される機会がございましたら、喜んで同定をさせていただき
ますので、私宛てにお送りいただけましたら幸いです。詳細は、お手数ですが、
ダイレクトメールをいただけましたら、ご説明いたしますので、何卒、ご協力の
ほど、よろしくお願い申し上げます。





***************************************
安部順一朗
***************************************
〒623-0035
京都府  綾部市 上野町 上野200
農業技術研究機構
近畿中国四国農業研究センター
総合研究第4チーム
Tel: 0773-42-0109
Fax: 0773-42-7161
e-mai: abejun@affrc.go.jp
***************************************