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[IPM:515] Re: バータレック



皆様,三浦@管理人です.
増田さんの代わりに投稿します.

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高松さま,和田さま,皆様
   
   宮城園試,増田です。
   まず,バラでの利用についてです。
   バータレックを散布してうまくこの昆虫病原糸状菌(バーチシリウム・レカニ)が感
   染した場合,アブラムシの寄生部位である葉っぱやがくの部分に白い菌糸に覆われた
   死亡虫がそのまま残ると考えられます。
   アーチング栽培などの下枝のようなところでは使用できると思いますが,収穫部分ま
   でアブラムシが上がってしまった場合は使用しない方がいいと思います。
   確実にクレームになります。
   
   実際に使用する場合,冬場は午前中がいいと思います(夏場は全く逆です)。
   夜間は暖房機の影響でかなり湿度が下がってしまうので,昆虫病原糸状菌の感染には
   不適です。
   
   和田さんは書きました。
   > この回答は増田さん他にお願いします。
   > 私もたとえば湿度90%が5時間続き、そのあと60%に落ちてまた90%に上
   がったなどの
   > 応用問題については推測の粋をでないのです。勉強不足で申し訳ありませんが、た
   だ生物というのは
   > 案外強いもので向こうも生きるのに必死ですからそう簡単に斃死(へこたれる)す
   ることは
   > ないものです。これは天敵昆虫も一緒で結構強い薬をまいても全部死ぬことはむし
   ろ例外的と
   > いえるのではないかとこのところ(3−4年)感じています。
   
   私も湿度の変化は実験したことはないのですが,極端な低湿度にならない場合は湿度
   継続時間は累積していくような感覚を持っています。
   たとえば,感染には高湿度条件が12時間必要であるが,途中に75%以下の湿度が入っ
   てもその前後が高湿度であれば十分感染は成立するように思います。
   宮崎の黒木さん,このあたりはどうでしょう?
   
   > バータレックに戻ると、一度発芽したあとは当然環境に対する抵抗性は低くはなり
   ますが、
   > その度合いによります。
   > 答えになっていなくてすみません。
   > 次に感染は直接胞子が虫の体に接触しないと難しいといわれています。
   > これもまったくだめということではないのですが、バータレックの菌糸・胞子に粘
   性があるので
   > 飛散しにくく感染して菌糸を出している虫に接触すれば感染するであろうという程
   度です。
   
   実験的には,餌の葉っぱにバータレックを散布しておくと,後からアブラムシを入れ
   ても感染します(もちろん極めて感染に好適な条件ときですが)。
   ただ実際には,やはり薬液がきっちり体に付着する葉に散布することが原則だと思い
   ます。
   
   > バータレックの効果はこれは宮崎の黒木さんからの受け売りですが、なかなか感染
   しにくいが
   > 一度感染するとハウスの隅まで感染していたという報告がありますので、ある程度
   以上感染が進むと
   > 一気に爆発的に感染が起こるのではと推定されます。
   
   私も感染死亡虫からの二次感染も極めて重要だと思います。
   この菌の感染虫は感染後しばらくは生きており,この間は触覚や脚,角状管に分生子
   の形成が見られます。アブラムシは死ぬまで幼虫を産みますが,このとき幼虫に感染
   が起こっていると考えられます。
   また,周辺の感染していないアブラムシへの感染も同時に起こっており,これらが相
   乗的に起こることによって急速に発病してくるのだと考えられます。
   
   
   > From: "rose" <rose@he.mirai.ne.jp>
   > To  : <IPM@affrc.go.jp>
   > Date: Mon, 25 Dec 2000 12:38:42 +0900
   >
   > > 和田さん、鷲坂さん、みなさん
   > >
   > >  いろいろご指摘ありがとうございます。バータレックについて、カタカナ名が
   頭に
   > > はいっていなくて、気がつきませんでしたが、微生物由来の新しい農薬というこ
   と
   > > で、話を聞いたことがありました。(すみません)
   > >
   > >  確か、温度18〜28℃、湿度80パーセント以上を、半日〜3日間維持すると注意
   書き
   > > があり、こりゃ無理だと意識の外においていました。ただ、チェスだけの連用に
   心配
   > > になってきていますので、背に腹は代えられないという気持ちでもあります。そ
   れ
   > > で、もうすこしバータレックについて質問があるのですが。
   > >
   > > (1)私のところは、温風暖房なので、冬場夜間の湿度は(正確に測ったわけでは
   あり
   > > ませんが)かなり低いと思います。というのは、寒い日に午後消毒して、翌朝に
   は
   > > 葉っぱが乾いているのですから。仮に散布するとすれば、天気のいい日に採花
   後、朝
   > > 8時過ぎに朝一番で散布し、天窓は設定温度をあげて簡単に開かなくして湿度を
   保
   > > ち、午後の採花は特別に休み(葉っぱが薬でびちゃびちゃだといけないので)、
   と
   > > いった段取りで、なんとか12時間所定の条件を維持するというものですが、それ
   でも
   > > 3〜4時ごろには日照も弱くなり暖房機がかかる可能性はあり、かかれば湿度の
   維持
   > > はどうかなというかんじですし夜8〜9時までとなると....。
   > >  ということで、仮に12時間後に湿度が急激に下がっても菌の発育は見込めるの
   で
   > > しょうか。
   > >
   > > (2)散布菌のアブラムシへの感染は、直接かかれば当然として、薬剤のかかった
   葉に
   > > 摂食、ないし、吸汁した場合も感染するのでしょうか(要は、散布に際して、液
   が直
   > > 接かからない虫にもこうかはあるのかどうか)
   > >
   > > お願いします
   > >
   > > 高松茂樹
   > > rose@he.mirai.ne.jp
   > >
   > >
   > >
   > >
   >

............................
三浦 一芸(みうら かずき)
農林水産省中国農業試験場
虫害研究室
(広島大学大学院生物圏科学研究科併任)
〒721-8514
福山市西深津町6-12-1
Kazuki MIURA
Laboratory of Insect Pest Control
Chugoku National Agricultural Experiment Station
Fukuyama 721-8514, JAPAN
TEL:+81-(0)849-23-4100
FAX:+81-(0)849-24-7893
E-mail:miurak@cgk.affrc.go.jp