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[IPM:601] 黒ダイズのハダニ(IPM496,acari360-362)



後藤さん,IPMMLのみなさん,acariのみなさん

羽曳野田中寛です。クロスポストご容赦ください。

/田中IPM496およびacari360で質問した黒ダイズの不明ダニの件,
茨城大の後藤さんから回答をいただいたので,全文転送報告します。
カンザワハダニ,との同定です。後藤さんには厚くお礼申し上げます。
田中の最初の質問も末尾に添付しておきます。

>Date: Sat, 20 Jan 2001 12:11:11 +0900
>From: Tetsuo Gotoh <gotoh@msv.ipc.ibaraki.ac.jp>
>To: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
>Subject: ダイズのハダニ
>
>羽曳野/田中さん
>
> AcariとIPMに報告して置いていただけると幸いです。
>
> 2000年12月11日採集の黒ダイズのハダニの同定が終わりました。休眠体色が2色あ
>りましたが、いずれもカンザワハダニでした。これらは、雌成虫と雄交尾器による同
>定です(n=15)。念のため、うちの研究室で使っている酵素アロザイム(n=20♀♀)で
>も確認しましたが、いずれもカンザワハダニを示すバンドが出ました。
> なお、これだけの発生があって被害を確認できなかったとは考えられません。田中
>さん、コメントを!
$$$ (中途ですがコメント)この農家は10年以上黒ダイスを栽培
していて,ハダニ被害の経験もあります。同じことをその農家にも
質問しましたが,ハダニの被害は感じなかったとのことです。
合成ピレスロイド剤(トレボン)散布後にハダニが増殖したが,
ハダニの多発と秋のダイズの茎葉枯死が時期的に一致していて,
見過ごしたものと思われます(結果的に実害がなかったわけです)。

> これら休眠個体の越冬の可能性ですが、直接外気に触れて越冬している個体は、茨
>城県のナシ園での調査経験から推察して、多分越冬に失敗して死亡すると思われます
>(気象状況によるので、断言はできません)。重なり合っている奥の方の個体が生き
>残った場合、雑草のホトケノザ、ハコベ、メヒシバなどがあると翌年の発生源になる
>可能性があります。夏ダイズからの栽培をされる場合には、ご注意下さい。
$$$ (田中再コメント)アドバイスありがとうございます。農家との
コンタクトを継続して注意したいと思います。カンザワは単独では
残渣の下に潜ったりするが,このような集団では(安心して(笑))
そのまま越冬体勢に入ってしまう,と考えてよいのでしょうか?

>Dr. Tetsuo GOTOH (後藤哲雄)
>300-0393 茨城大学農学部応用動物昆虫学研究室
>############################################
>Laboratory of Applied Entomology & Zoology
>Faculty of Agriculture, Ibaraki University
>Ami, Ibaraki 300-0393, Japan
>Tel/Fax: +81-298-88-8560
>############################################
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 > 羽曳野田中寛です。

/農家から「ダイズの株元に集合する赤色ダニ」の問い合わせが
ありました。ハダニによく似ていますが,害虫ではなく,ハダニ類では
ないと思われます。田中には同定能力がありません。面白い現象
なので,写真を下記のURLに掲載し,合わせて状況を記述します。
どなたかご教示をいただけると幸いです。標本は生存したまま
冷蔵庫に保管しています。同定してくださる方にはクール宅急便で
お送りしますので,お知らせください。

http://homepage2.nifty.com/hiroshi-habikino/daizu.htm

/標本ラベル
採集日時:2000年12月11日
採集場所:大阪府松原市農家露地圃場
寄主植物:ダイズ(黒豆)
採集者:田中 寛

/発生状況
(1)11月中旬の収穫開始時に農家が気がついた。約70%の株の
株元から10〜20cmの茎部に赤色のダニが数百〜数千個体
密集する。本農家は10年以上ダイズ(黒豆)栽培を行っているが,
本年初めて認めたと言う。室温下に置いてもほとんど分散しない
ので,(田中は)休眠しているものと考えている。
(2)本農家は本年,ハダニの被害を認めなかった。本農家は
これまでダイズのハダニの被害を経験しており,農家の言に
間違いはないと思われる。
(3)当該ダニはカンザワハダニやナミハダニ赤色型に比べ,
鮮やかで明色の赤色を呈する。

/周囲の状況
(1)耕種概要:栽培面積10a,播種6月中旬,1週間後移植,
収穫開始11月中旬,薬剤は極力散布しない方針であるが,
本年はハスモンヨトウが多発し,9月23日ダイアジノン粒剤3kg,
9月24日トレボン乳剤×1,000,10月1日トレボン乳剤×1,000,
10月5日オルトラン水和剤×1,000散布。除草もできるだけ
行わない方針で,ダイズが育つ程度に草刈り等を行い,
草とともに生育させている。
(2)周囲は水田で,一面は道路をへだてて一般民家がある。
松原市は市街化が進み,この農家圃場の周囲は水田があるが,
他にダイズ栽培はなく,毎年殺虫剤散布はほとんど行わない。

以上です。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室
(兼)大阪府立大学連携大学院
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内232)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
Business page: http://homepage2.nifty.com/hiroshi-habikino/
天敵カルテ: https://tenteki.cgk2.affrc.go.jp/
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