[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[IPM:1777] Re: アドバイス依 頼:ナスのソ ルゴ巻のニジュウヤホ シテントウ解決法



田中様
岡山農試の永井です。
ニジュウヤホシテントウの対策ですが、6年以上現地へ行っていないので、今はどの
ような方法で防除しているのか知りませんが、当時の方法は、以下のようなもので
す。

●テントウムシダマシ類成虫によるナス果実の食害は比較的少なく、多くは幼虫の食
害なので幼虫の発生を防除すれば実害は少ない。
●ニジュウヤホシテントウはナスより雑草のイヌホオズキを好む。ソルガムの下草な
どにイヌホオズキが、たくさん生えていると、これを食い尽くすまでニジュウヤホシ
テントウはナスへ移動しないので、ナスはニジュウヤホシテントウの被害を免れる。
しかし、イヌホオズキを食い尽くすとナスへ移動する。イヌホオズキを食い尽くしそ
うな場合は、ナスへ移動する前に除草するなどしてニジュウヤホシテントウを殺す。
●テントウムシダマシ類が発生しているバレイショが近くで栽培されているなど、発
生源から近いナス圃場では、定植直後から飛来する。しかし、一般にテントウムシダ
マシ類のナスへの飛来は両種とも7月頃からで、7月下旬頃に成虫の飛来が多い。テ
ントウムシダマシ類はナスに飛来後すぐに産卵を開始する。ナスで育った幼虫は8月
に成虫になるが、通常ナスにしばらく留まった後、越冬場所へ移動するので次世代幼
虫の発生は少なく密度も低下する。このため、よほどの多発年でないかぎり8月にテ
ントウムシダマシ類による被害が発生することは少ない。
●7月下旬はチャノホコリダニの防除適期に当たり、幼虫の防除にアプロード水和剤
を散布する。この剤はテントウムシダマシ類の成虫には影響はないが、孵化及び脱
皮・変態を抑制する(詳細は、Izawa, Y., M. Uchida and M. Yasui (1986) Agric.
Biol. Chem. 50 (5) 1369-1371 及び 安井通弘(1991) 昆虫成長制御剤ブプロフェジ
ンの作用特性と害虫防除剤開発に関する研究. 京大博士論文にあります)。本剤は水
和剤のため散布後果実が汚れるので、出荷前に汚れを拭き取とる必要がある。

以上、農文協の農業総覧「ナス(露地囲い込み栽培)」の原稿を抜粋して、少し修正
しました。