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[IPM:1779] Re: 永井Re: アドバイス依頼:ナスのソ ルゴ巻のニジュウヤホシテ ントウ解決法



皆様
伊東市の桐谷です。
田中さんの,ついでながらとの前置きの下記の記事は興味をひ
きました。
「2003年の貝塚市では秋にミナミアオカメムシが問題になりま
した。ソルゴの穂がカメムシを呼び寄せたようです。果実が直
接吸汁されるので,やっかいです。『ソルゴ巻の二次病害虫』
のサブプロジェクトも作るほうがよさそうですね。」
ミナミアオカメは40年前までは、紀伊半島南部に分布し,和歌
山市には未分布でした。大阪まで北上したと思ったら,昨年は
静岡県ないでも発見されています。九州でも、かっては宮崎が
中心だったのが、最近は福岡まで北上しています。大阪から静
岡は、離れすぎています。途中にも分布している可能性もあり
ます。
アオクサカメムシとよく似ているので見分けづらいのかもしれ
ません。簡単な区別点は成虫の前翅をもちあげて、腹部の背面
をみます。背中が黒かったらアオクサ、青かったらミナミアオ
です。両種の種間交尾はごく普通に見られるので、交尾個体を
見て同種という先入観はもたないでください。
種間交尾はしますが、子供は出来ません。現在、ミナミアオカ
メの北上にともない、先住者のアオクサカメムシに置き換わり
つつあります。増殖力の大きいミナミが、侵入地域ではアオク
サを数的に圧倒し、ついには劣勢のアオクサは種内交尾の機会
までうばわれ、絶滅にいたることが考えられます。
多様性保全の観点から遺伝子撹乱が問題になりますが、それ以
前に不毛の種間交尾は、種の存続まで脅威にさらされます。ミ
バエを想像ください。
第2に、温暖化は単にある種の北上と言う分布域の拡大だけで
はなく、近縁種の存在も脅かすというより大きなインパクトを
持つことがあるのです。
九州の状況については、湯川淳一さんが連名で応動昆英文誌に
投稿されました。これからミナミアオカメもでてきますので、
アオクサカメとともに注目ください。



桐谷圭治

〒413-0231 静岡県伊東市富戸1020-292

ロワジール伊豆高原3-503 

Tel/Fax 0557-51-7885; E-mail kiritanik@xxxxxxxxx