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[IPM:41] Re: 天敵カルテ自由利用のしくみver991004(幹事会暫定案)



木浦さん、こんにちは。

 とりあえず私の手元にある「プログラマのための最新著作権法入門」という書
籍に著作権法の抄録がありましたので、いくつかキーワードを拾い出してみます
と、

○は法律文面、●は小林の補足です。

○著作物:思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又
  は音楽の範囲に属するものをいう。(第2条一)
○著作者:著作物を創作する者をいう。(第2条二)
○データベース:論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情
  報を電子計算機を用いて検索する事ができるように体系的に構成したものをい
  う。(第2条十の三)
○二次的著作物:著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画
  化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。(第2条十一)

●言葉の定義の部分。
●他人が作った著作物を使って創作されたものは二次的著作物ということです。

○二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に
  影響を及ぼさない。(第11条)

●翻訳された書物の原著や入力されたデータベースの元データに対する法律の保
  護はそのまま継続され二次的著作物の有無には影響を受けない。

○データベースでその情報の選択または体系的な構成によって創作性を有するも
  のは著作物として保護する。(第12条の二)

●データベースは保護できるということです。

↓これは小林がわかりやすいように文面を整理しました。

○著作者は、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)及び著作権
  (複製権、上演権及び演奏権、放送権、有線送信権等、口述権、展示権、上演
  権及び領布権、貸与権、翻訳権、翻案権等、二次的著作物の利用に関する原著
  作者の権利)を享有する。(第17条:小林改変あり)

●著作物を創作すると著作者人格権と著作権の二つの権利が生じます。

○著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行も要しない。(第1
  7条の2)

●著作に関する権利の発生は自動的であり、手続き、申し込み等は一切必要ない。
  →結果として自分が創作したと証明するのが難しい。単年度ごとにプリントア
  ウトして国会図書館にでも寄贈した方が偽造トラブル防止にはいいかもしれな
  い。 (^_^;)

○著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。(第51条)
○著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物
  にあっては、最終に死亡した著作者の死後)50年を経過するまでの間、存続
  する。(第51条の2:小林改変あり)

●個人の著作権は創作時点から死後50年を経過するまで。

○法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表
  後50年(その著作物がその創作後50年)を経過するまでの間、存続する。
  (第53条)
  
●法人の著作権はその著作物の公表後50年。個人に比べてえらく短い。

○著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。(第59
  条)
○著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。(第61条)
○著作権は、次に揚げる場合には消滅する。(第62条)
  一 著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法(明治29年法律第
  89号)第九百五十九条(相続財産の国庫帰属)の規定により、国庫に帰属す
  べきこととなるとき。
  二 著作権者である法人が解散した場合において、その著作権者が民法第七二
  条第三項(残余財産の国庫帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に
  帰属することとなるとき

●日本の法律では著作権は譲渡することはできるが放棄はできない。著作者人格
  権は譲渡できない。

○著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。(第6
  3条)

●著作権者の許諾がないと、その著作物は利用できない。


これ以外にも平成9年改正の部分で、ネットワーク配信に関する項目が増えてい
ますが、解説本が手元にないのでよく分かりません。(ネットに掲載した時点か
ら著作権が発生して50年間有効とか、LAN内部でも著作物共有はダメとかそうい
う部分的な追加があります。)

 データベースの著作権については基本的には雑誌への記事の投稿みたいな考え
方で処理できると思います。投稿者から複製権及びデータベースへ変形に関する
許諾を受け、二次的著作物を創作する訳です。

 天敵カルテの場合、データは投稿されたものを蓄積する予定なので、原著作者
が存在します。その人への著作者人格権の保護は必要です。(氏名を公表するか
しないか、原著の同一性を保持するかしないか等の本人の意思を尊重すること)

 原著の同一性保持は非常に重要な問題だと思います。


  _/_/_/ 小林彰一 (http://www.asahi-net.or.jp/~na9s-kbys) _/_/_/