[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
[IPM:523] Re: ハスモンヨトウ用ディスペンサーと黄色灯の比較について
向阪さん,みなさん
大阪農技セ・柴尾です。
田中さんへの質問ですが,実際に試験を行った経験をふまえて,
私の考えを述べさせてもらいます。
At 16:21 00/12/25 +0900, you wrote:
>加温栽培ブドウではチリカブリダニとハスモンヨトウ用フェロモンディ
>スペンサーを使用すれば、ほぼ無農薬管理ができるとの田中さんの
>ご意見ですが、ここで質問です。
>従来の考えから、黄色蛍光灯でもハスモンヨトウの防除が可能と考えられ
>ますが、この場合は手軽さからフェロモンディスペンサーが黄色灯にとって
>代わると考えられるのでしょうか?
>
>黄色灯の将来は暗いのでしょうか?
いいえ,そんなことはないと思います。
いずれにしても,フェロモンディスペンサーと黄色蛍光灯ではハウスブドウで利用する
場合に一長一短があるように思います。
フェロモンディスペンサーの長所としては次のようなことがあげられます。
ハウスブドウ(加温栽培)でハスモンヨトウが多発するのは2〜4月頃の寒い時期です。
この時期はハウスが密閉されていて,ハスモンヨトウが外からハウス内に入り込むこと
もなく,フェロモンによる交信攪乱効果が高いこと。フェロモンディスペンサーは4
ヶ月間
有効なので,1回処理すれば,栽培期間をカバーできること。ブドウは棚栽培のため,
ロールタイプのフェロモンディスペンサーの設置が楽に短時間で出来ること。とくに,
大阪のような傾斜地にハウスがある場合は,薬剤散布作業が困難かつ重労働になるた
め,
フェロモンディスペンサーは省力化になります。一方,短所としては毎年フェロモン
ディスペンサー
を処理しないといけないことや資材の経費が高いことがあげられます。それから,現
時点では
まだ農薬登録されていません。
一方,黄色蛍光灯では実際にハウスブドウで試験を行った経験がないので,確信を持
って
言えませんが,次のような長所と短所があるのではないでしょうか。長所としては,
これまでの黄色蛍光灯での試験事例からハスモンヨトウに対して防除効果が高いことを
前提として,1回設置すれば永年的に使用でき,省力化になることです。一方,短所
としては電源の確保,ブドウの生育への影響,棚上に設置した蛍光灯がビニール被覆
のじゃまにならないか?,資材の経費などがあげられます。
いずれにしても,黄色蛍光灯を設置した場合の効果や問題点を明らかにする必要が
あると思います。
-------------------------------------------
柴尾 学 (しばお まなぶ)
大阪府立農林技術センター環境部病虫室
〒583-0862 羽曳野市尺度442
TEL: 0729-58-6551(内232)
FAX: 0729-56-9691
E-mail: manabu.shibao@nifty.ne.jp
-------------------------------------------