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[IPM:652] Re 山下648Reアブラムシオレート粘着くん廃油



山下さん,本多さん,かとうさん,IPMMLのみなさん

At 11:27 01/03/25 +0900, you wrote:
>オレート液剤と粘着くんの、それぞれ効き方の特徴のようなものが
>あるのでしょうか?
$$$ どちらも虫が呼吸するための気門をふさぐことによって効く,
とされており,虫に直接かからないとダメです。だから,育苗期の
ように苗が小さく,葉裏に薬液がまんべんなくかかる時は効果が高く,
葉が繁ってしまうと生き残りが出て,効果が長続きしない,という
特徴があります。粘着くんはトマトサビダニにも効果はあることを
確認しましたが,葉が繁っていると効果は長続きしません。

>ある方のお便りで、「食用油の廃油を、田植え前の畦に潜んでいる
>イネミズゾウムシに散布してみる」というのがありました。「だめで
>もともと」ということでしょう。
$$$ 日本農業が世界に誇る技術のひとつに,ウンカの注油駆除法が
あります。江戸時代に始まったもので,当初は鯨油,その後灯油を
使い,田んぼに水を張って油を薄く流し,稲をたたいてウンカを
払い落とし,水面に落ちたウンカが溺れ死ぬ,というものです。
イネミズゾウムシにも効くでしょう。油は虫の気門を塞ぐ効果があり,
マシン油乳剤やオレート液剤や粘着くんは,いわば注油駆除法の
子孫というわけです。

$$$ ただし・・・!,現代では油を田んぼに流すと,下流から苦情が来る
こと請け合いで(とくにその地域の農家が一斉にやると凄いことになる),
また,BODやCODという言葉を聞かれたことがあるでしょうけど,非常に
大きい有機汚濁源になります(油は下水に流さず固めて捨てよ,という
運動もあります)。環境にモノを放出することは,量が多くなれば何にせよ
問題になるというわけで,つくづく難しいものだと思いますね。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室
(兼)大阪府立大学連携大学院
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