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[IPM:716] ジャンボタニシは撲滅するほかないのかな?



Title: 小沢さん、鈴木さん、IPMMLの皆さんへ

小沢さん、鈴木さん、IPMMLの皆さんへ

姫路の山下で、HP「除草剤を使わない稲作り」の世話人をやっています.

3年程前、「おらが田んぼでも、除草剤に頼らない稲作りはできそうか?」のシンポジウムをやりました.その記録集(売り切れ)に、ジャンボタニシについてでていますので、コピーして、送ります.ちょっと長いけど、読んでみてください.

農文協刊「除草剤を使わない稲作り」にも、くわしく出ていますので、またご覧ください.

なお、引用文中、「稲葉」は民間稲作研究所の稲葉光圀さん、「宇根」は宇根豊さんです.

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ホームページ「除草剤を使わない稲つくり」
の世話人「やまちゃん」こと、山下正範
〒672−8002 兵庫県姫路市北原328−4
E
メール yamatyan@jeans.ocn.ne.jp
HPURL
 http://www2.ocn.ne.jp/~josonet/
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ジャンボタニシによる除草

 

 

司会 では、ほかになければ、次の、これはちょっとユニークで、先程宇根さんの

 ほうから出ましたけど、ジャンボタニシを使ったことがある、ないし今使ってる、

 使ってみたいとかいう、おられます?九州は多いですね。よろしくお願いします。

山下 福岡の山下です。ジャンボタニシは、先程宇根先生が言われたように非常に

 便利なもので、ほっといて勝手に増えてくれるし、勝手に食べてくれて、何も世

 話も要らなければなにもしないでいいんです。ひところ、最初から、エスカルゴ

 の代わりになるということで、要するに、台湾かどこか知らないけど、東南アジ

 アとか、あちらから養碑に導入されたのが、結果的にそれが商品にならなくて放

 棄されたんです。

  放流された結果、勝手に増えて弱った。みんな困ったんです。私は、「ああ、

 これはいける」と思って、もう十何年前、ぼつぼつうちは始めたんです。うちの

 田圃から十数キロ上流で養殖してたのが逃げた。だんだん、広がっていくという

 のが分かったんです。私は、「これはいいな」と、その時、成苗植えをやってた

 関係で、あれを溝から拾ってきてたんです、最初は。それで、うちの田んぼにば

 らまいたんです。みんな殺したりして、いろいろな防除対策をやってたんですが。

 溝に赤い色の卵を生むんです。それをずっとつぶして歩いたんです。それを私は

 拾ってきた。(笑い)それで、田んぼにばらまいて、大体、増進のスピードは非

 常に繁確するのは早いですから、1坪に何個か入れればいいですね。肥し袋に2

 3杯入れれば、けっこうな面積の草が会われます。それで全部ばらまいてやるん

 です。

  結果は非常にいいです。どんどん増えます。うち辺りは越冬しますから、水を

 張ったらすぐ出てきます。稚苗は食べられてしまうんです。要するに、葉鞘が硬

 くなったら・食べないんです。柔いと食べる。水が多ければ、そこまで食べる。成

 苗でも水がかなり入れば、上位葉の裏側辺りは食べられます。硬くなった部分ま

 で水ためればそこまで、畦草も食べてくれます、水が入れば。水のその線までき

 れいに。非常に便利です。(笑い)

  いない所へは、九州から箱詰めで送って、田んぼ入れたらどうですかね。(笑

 い)越冬しない所は、かえっていいんです。こちらのほうで寒い所は越冬しなけ

 れば、適当なときにばらまけばいいんです。そうすると、何と言ったって、冬場

 は死んでくれるならば、近隣に迷惑掛けないです。だから、私は逆にうち辺りは

 越冬して、どこでも行くけど、東北辺りは逆に九州から導入してばらまく。そう

 すると、どんどん広がる。そうしたら、越冬しないから死んでしまう。近隣に迷

 惑かけない。非常にいいと思いますけど。

司会 ありがとうございました。ついこの間、ジャンボタニシを殺すのに薬は何が

 いいかと、九州のほうのある農協から電話がありまして、ということがあったも

 のだから、えらく新鮮で。大体知っておられますよね、あのジャンボタニシとい

 うのは。赤い卵をびっしり水路の中に、ものすごい繁殖力で増えて、その増え方

 に恐れをなして、あれを殺さなくてはいけないとあわてるというやっなんですけ

 ども、ちょっと食い方なんかはどういうふうに、柔らかい所全部食うというのは

 

宇根 ちょっと、すみません。ジャンボタニシが自分の田んぼにおる人、ちょっと

 手を挙げてくれませんか。基本的には、そこの田んぼにいない生き物をよそから

 持ってくるというのは、やっぱりやめるべきです。(笑い)どういう影響が出て

 くるか分からない。先程言われたように、冬に死んでしまう、越冬できない動物

 だったら心配ないんでしょうけど。どういう影響が出てくるか分からないからで

 す。それは憤重にすべきだと思います。

  ただ、言えることは、田んぼではほとんどは9割ぐらい死んでしまいます。冬

 の寒さとロータリー耕によって九州でもです。1割ぐらい残るんです。小さいや

 つは死んでしまいます。大きいやっもロータリーのツメに掛かって死にます。大

 体1センチから3センチぐらいのが残ります。これが、すごく除草には好適です

 ね。

  というのは、例えば、ジャンボタニシがおって、自分の殻が水面上に出てると、

 動きはきわめて鈍いです。自分の殻が水の下にどっぷりつかってしまうと、すご

 く動きは激しいです。つまり、1センチから3センチぐらいのやつは、つまり、

 1センチから3センチ以下に水を落とせば動きはきわめて鈍いということです。

 でも、あんまり落としてしまうと、今度は草を食いませんので、とにかく、ひた

 すら浅水にする。

  水の中におるところも、極めて自由に動いて、さっき言われたように、水の下

 にある部分は何でも食います。ただ、小さい、1センチか3センチぐらいのやつ

 は硬い部分はやっぱりちょっと残しますから、水につかっておっても茎の部分が

 ちょっと残ります。ただ、大きくなってくると握りこぶしぐらいになりますから、

 こうなると茎でも何でも食ってしまいます。

司会 稲と選択的に食わせるというのはどうやるんですか。

宇根 除草剤を振ると駄目なんです。除革剤振るとえさがないから、稲を集中的に

 食べるわけです。除草剤を振らないと、結局草のほうもけっこう生えますから、

 イネはやられないんです。

司会 稚苗などの場合は代掻きをして田植えまでの期間は少し長いほうがいいとい

 うことはないんですか。

稲葉 いや、大体ジャンボタニシが生息している所は、勝手に入ってきちやいます。

 成苗で植えないと、稚苗ですとみんな被害がありますからね。一坪、二坪全然な

 くなっちやいます。それでジャンボタニシは敵視されているわけです。人間の都

 合なんです。成苗にすれば、それは簡単に益虫になるんです。益虫害虫なんてい

 うのは、人間が勝手に決めたやつですからね。

  そういう点で、基本は成苗、それでひたひた水でスタートするというふうにす

 ればきれいに食べてきます。ちょっと深くすれば、あとから出たやつでもちやん

 と食べてくれるということになります。そういう点で、苗作りとセットになった

 技術ですから、その辺はきちっと守ってやっていただければ大丈夫だと思います。

司会 ジャンボタニシについては、今お話出ましたけど、ほかにジャンボタニシに

 ついて何かありますか。では・・・。

白石 私、佐賀の白石なんですけれども、ジャンボタニシの被害に遭っております。

 (笑い)それは、耕地整備をしっかりしないと駄目なんです。さっき、深水とか

 おっしやつたんですが、うちの圃場(ほじょう)で長さが110メートルありま

 すから、水口(みなぐち)と110メートル先と3センチで保てるかということ

 です。実際、そういうことは無理だと思うんです。

  ですから、波板の仕切りをするとか、段階的にしていけばいいと思いますけど、

 圃場が均平であればやれるのかなというところです。だから、もし導入されるん

 だったら、耕地整備をしっかりなさって、フラットな圃場だとできるかもしれな

 いと思います。そういうことで、被害に遭っているのもおりますので・・・。(笑

 い)

司会 それは、苗は成苗とか中苗とか関係なくやられちやうわけですか。成苗だっ

 たら・・・。           「

−一 成苗だったらいいんじやないですか。

一一 ああ、なるほど。

一− しっかり管理すれば・・・。

−− ああ、なるほど。

稲葉 それが安定するんですよ。中苗稚苗では本当に水管理が大変ですよ。

宇根 おっしやるように、稚苗でも田んぼの高低差をきちんと直して、水管理さえ

 ぴしやつとできれば大丈夫なんです。ただ、おっしやるように成苗にかなうもの

 はないと思います。

  ただ、もう一つ行政的な立場で言えば、逆説めいてますけど、ジャンボタニシ

 の被害というのは西日本各地かなり広がっていますが、ジャンボタニシの被害を

 回避するためにはジャンボタニシを活用しないと駄目なんです。要するに、僕が

 住んでいる所は、かつて役場から200万円かけて全部で駆除活動をやってたん

 です。そのころ、もちろん除草剤を使う、除草剤を使うと水をためざるを得ない。

 水をためると、どうしても低い所は食われる。だから、なおさら貝を取って回る。

 取って回っても、取って回っても絶対減らないです。根絶できません。

  それで、みんな、ほとほとあきらめていた時に活用する百姓が出てきて、一遍

 に広がったわけなんです。活用するようになると、みんな意識的に水を落とすん

 です。その地域は、ほとんど除草剤を使ってませんけど、みんな水を落とします。

 水を落とすと食われないわけです。被害は激減するわけです‘。

  ジャンボタニシを活用しないで、目の敵にしているうちは被害は減らないです。

 除草剤を使い続けるうちはです。だから、むしろ被害をなくすという意味で、ジ

 ャンボタニシを除草に活用するというのが発想としてはまともだと思います。

−− なんで農協はそんなことに気が付かないんでしょうか。あほじやないか。

−− そりやあ、あほばっかりでしょう。(笑い)

稲葉 今から15年ぐらい前、九州を訪ねた時にジャンボタニシを初めて見ました。

 その時からこれは除草に使えるんじやないかと言って、除草に使おうという話に

 なったわけです。だから、あれは視点を変えればすごい益虫なんです。それを、

 いまだに日の敵にしているというのは不思議でしょうがないです。何でですか。

 現場に学ばないんですかね