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[IPM:992] : 土着、導入天敵
アリスタ和田哲夫です。
松永さんのコメントあるは質問に対して。
天敵の効果については、科学的なデータは山ほどあります。またしっかりとした論文
も
あります。どうしてないなどといえるのか、その方はこの分野の論文や文献を読んで
いるのでしょうか?
科学的データもきちんと出ています。だからこそ我々は開発を継続しているのであ
り、
断じて、ムードでやっているわけでありません。
この天敵カルテを始めるにあたっての考え方も
効果の良いものだけでは、他山の石にならない。
失敗例も出してどうすれば成功するかの参考にしようということで始めたと理解して
います。
天敵の効果については、
古くはカリフォルニア大学のリバーサイド校、
その後、イギリスの温室研究所、 その後、オランダのワーゲニンゲン大学、
アムステルダム大学などでツヤコバチ、チリカブリダニ、ククメリスなどの
実効性が示されており、文献もたくさんあります。
またオランダの野菜研究所ではハナカメムシの効果が高いことがこれも
文献でております。まともな学会誌です。
外国の話ばかりじゃないかと言われそうですが、
これを受けて日本でも北大や九大でかなり実地試験もなされ
現実に各県の試験場でも天敵の効果は認め、実際試験場で
生産、無料配布も行われたのです。
その後、日本植物防疫協会経由で各社が各県の試験場にて
3年から5年かけて現場での試験を実施して、効果あるという
結果が出た上で、現在天敵が農薬と比肩する防除手段であると
認められ販売が開始されたという、科学的に積み重ねたあとに
現在があるのです。
いったい天敵やマルハナにめちゃくちゃに詳しいプロが上記の経過と
科学的データ、文献がないというのは解せないのですが。
次に天敵のリスクとベネフィットですが、
これも現在というかこの数年取り組んでいることで、
このためだけのシンポジウムも何回も開かれています。
一言で状況を説明することは難しいのですが、
要は事前によくその天敵を深く研究して、環境および生態系に
大きなリスクのあるものは導入しないようにしようというものです。
一方で、導入種だけが問題なのではなくて、土着種でも
地域が異なれば、系統(ストレイン)が違い、遺伝子の解析をすれば
地域ごとの変異をかく乱することでもあり、そのレベルでいけば
輸入とたとえば長野県産を愛媛県にもっていくことも問題ということに
なってしまいます。
リスクとベネフィットを勘案するということが根底ですが、
その評価法についても現在ヨーロッパおよび日本で
検討されています。
なかなかうまくは説明できないかもしれませんが、世の中に様々な
本、文献、データがあります。充分勉強したあとで発信することを
お勧めしますし、そう願います。
以上
和田哲夫 アリスタライフサイエンス(株)
>> 天敵農薬やマルハナバチにめちゃくちゃ詳しいプロの一人。
>> その方によれば、「天敵が有効であるという圃場試験の科学データが極めて少
な
> い
>> (あるいは、皆無)。つまり、化学農薬よりも効果があるというデータはない」
だ
> そ
>> うです。その方も、効果がないというのは理論上有り得ない、とはお書き添え下
さ
> い
>> ましたが。
>> データがないために、天敵メーカーはやむを得ず、環境によいというイメージ
優
> 先
>> のマーケティングをしている、というのがその方の見方でした。
> 天敵の方が農薬散布より効果が有る事のデータはたくさんあると思います。苺
> では春になるとハダニという虫が発生します。農薬散布には制限があり全滅さ
> せる事は出来ません。3週間もすれば元の量に、一ヶ月半もすると手の付けら
> れない状態になります。その上抵抗性の付いたハダニが発生したりします。こう
> なると農薬をいろいろ使い分ける事が必要になります。ハダニに利く農薬もいく
> つか種類(系統)があってローテーションを組むわけです。こんな話を聞くと苺を
> 食べたくなくなっちゃいますよね。
> では、天敵はどうか? 利用には問題点も多いのです。今までの農薬をそのま
> ま使っていては、天敵も死んでしまいます。天敵を散布する前から気を付けてい
> なければなりません。天敵について悪く言う人は、天敵利用に失敗した人が多い
> のでは? 私は、失敗をしてもそれを次の成功の肥やしにしたいと思っています。
> で今のチリカブリダニの効果はといいますと、苺の収穫を終えた圃場の回りにあ
> る雑草にハダニが少ない、次の作の為の親株(苺)にもハダニは見あたらない。
> この事で次作の苺のハダニ発生も少なくなる。と言った具合です。
>
私の書き方が誤解を招いてしまったようですね。ごめんなさい。
私のコラムに意見を下さった方の意味するところは「しっかりとした論文がないで
すよ。科学的データがきちんと出されていないと、化学農薬と天敵のベネフィットと
リスクを勘案して結論を出すトレードオフができませんよ」ということです。
農家の方の実際の経験を否定するものではないし、天敵利用に失敗している人でも
ないのです。むしろ、現場を良く知り、天敵やマルハナバチをうまく利用したい、と
一生懸命努力している人です。そういう方のご意見なので、IPMMLの皆様にもご紹介
したかったのです。
現場の実感と、研究者レベルの科学データとの乖離は、天敵に限らずどんなものに
もつきまといますね。ただし、「天敵農薬の世界はムード先行だなあ」という印象
は、
私も持っています。
藤沢さんには、現場の実感を教えていただきました。天敵の利用は、いいものなん
ですよね。仮に失敗したとしても、次は成功に結びつけよう、と思える魅力を持つの
ですね。では、現場で感じる「リスク」はありますか? 変な虫が大発生してしまっ
たとか、チリカブリダニが逃げ出して大変だ、とか、心配になることはないのでしょ
うか。
研究者の方も教えてください。天敵農薬のベネフィットとリスクは? 化学農薬と
の比較は? 研究者の実感はどうなのか。論文レベルになると、それはどう定量化さ
れていますか?
松永 和紀(まつながわき)
waki@bc.iij4u.or.jp