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[IPM:993] Re: 土着、導入天敵
藤澤さん、IPM-MLの皆様
九大・生防研の高木です。
>それから、私は天敵は農薬とは思っていません。農薬は化学農薬だけと思ってい
>ます。農薬でなければもっと安価に手に入ったり配布したり出来るだろうになあ。
>と思います。土着の天敵は農薬でないもんね。
以前埼玉の根本さん達と、天敵を「天敵農薬」と呼ぶのは、天敵が化学農薬と同じだ
というイメージでよくないから、これからは、「天敵資材」と呼んだほうが良いので
はないかと議論したことがあります。確かに、欧米の天敵メーカーでは、ただ
natural enemies(天敵)とかbeneficial organisms(有用生物)、biological
control(生物的防除)とだけ言っていて、天敵農薬という言葉はでてきません。英
語で、natural enemy pesticideというのは聞かないので、「天敵農薬」と言うのは
日本独特の用法でしょう。ただし、bio pesticide(生物農薬)と言うのはありま
す。しかし、こちらの方も最近はあまり聞きません。ただ単に、natural enemiesと
言ってます。
日本では、天敵といえども害虫防除に効果があると謳って商業的に販売するのには、
農薬登録を行う必要があります。農薬登録された天敵を「生物農薬」と呼んでいま
す。さらに、「生物農薬」を、BTなんかの天敵微生物を「微生物農薬」、チリカブリ
ダニやオンシツツヤコバチなどの天敵昆虫(含むダニ)を「天敵農薬」と呼んでいま
す。この場合、天敵昆虫が外国産であろうと国産であろうと、農薬登録されていれば
「天敵農薬」です。タイリクヒメハナカメムシやハモグリミドリヒメコバチなんかは
土着種ですが、メーカーが農薬登録を取って販売すれば「天敵農薬」です。外国産の
天敵、例えば、クリタマバチの天敵、チュウゴクオナガコバチや、ヤノネカイガラム
シの天敵、ヤノネキイロコバチとヤノネツヤコバチなんかは、別に大量増殖して放飼
しなくてもうまく働いているので、「天敵農薬」ではありません。
「天敵農薬」というネーミングは今考えると、あまりよくないという意見もあります
が、農薬として登録された天敵第1号、クワコナカイガラヤドリコバチが世に出た当
時は、これからは、天敵が化学農薬に取って代わるのだという、関係者の意気込みが
あったのかも知れません。しかし現在では、天敵が化学農薬に完全に取って代われる
と考えている研究者はほとんどおらず、一般的には、化学農薬の使用を出来るだけ減
らすのに、天敵をどのように活用できるのかを追求するのが重要だと考えられていま
す。
学部向けの講義では、農薬登録されてメーカーから販売されている天敵を「天敵農
薬」と呼んでいると教えています。
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812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1
九州大学大学院農学研究院生物的防除学講座
高木 正見
Masami Takagi
TEL 092-642-3035 FAX 092-642-3040
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