[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[IPM:1305] Re: ハダニを食べいる幼虫



藤澤さん 皆さん

渡邊朋也@中央農研です。

藤澤さんの投稿された映像はハネカクシではないかと思い,この虫の専門家であ
る当部生物防除研究室の下田武志さんにみてもらったところ,下記の返事をもら
いました。

ご参考までに
以下,下田さんの返事です。

 藤澤さんの写真はハダニバエの一種(Feltiella sp.)の幼虫です
(タマバエ科なので脚がない、ハネカクシの幼虫には脚がある、で区別できます)。
 生態的な知見は殆どありませんが、ナシ・ブドウ・チャなどに発生する
カンザワハダニなどの有力天敵として評価されています。累代飼育は困難ですが、
野外で幼虫をハダニ寄生植物ごととってきて適当な入れ物に入れておけば成虫羽化
することがあります。ただし「それを圃場にまいたらどうなるか」という研究報告を
聞いたことがないので、うまく使えるかどうかは何とも言えません。
 ちなみに、以前に投稿したという(写真2・3枚目)については、ケシハネカクシに
間違いありません。ハダニの天敵であるケシハネカクシは日本では2種類
(ヒメハダニカブリケシハネカクシOligota kashmirica beneficaと、
ハダニカブリケシハネカクシOligota yasumatsui)知られていて、両者を区別する
ことは簡単ではないのですが、写真を見る限りではbenefica(下田が主にやっている 
方)
のようです。この天敵は果樹や野菜、花卉に発生するナミハダニやカンザワハダニ、
ミカンハダニの有力天敵として評価されていますが、飼育が難しいので、増やして
圃場にまくというのは大変だと思います。どちらの種類も、ハダニが沢山発生している
場所に成虫が移動しながらハダニを食べて産卵し、その幼虫もハダニをどんどん食べて
いくことで害虫密度を短期間のうちに下げてしまうことが知られています。
 ケシハネカクシが何匹いるようでしたら、そのままにしておく方がよいかもしれま 
せん。
ちなみに上記2種のケシハネカクシはアブラムシを食べませんので、1枚目の写真は
別の捕食者によるものと思われます。


--------------------------------------
渡邊 朋也 (わたなべ ともなり)
農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
虫害防除部 虫害防除システム研究室
〒305-8666
つくば市観音台3−1−1
Phone 029-838-8838  Fax 029-838-8837
Email: Tomonari.Watanabe@affrc.go.jp (勤務先)
       tomonari.watanabe@nifty.com  (自宅)