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[IPM:1507] Re: カブリダニ



藤澤様・皆様

野菜茶研の浜村です。また書きます。

匂いのことについて、少し誤解があるようです。
ハダニの匂いに誘われてカブリダニが近づくのではなく、
ハダニが加害したことによって、植物が出す匂い物質に反応して
カブリダニが動くというのが、現在、いろいろな事例で明らかに
なりつつあることなそうです。 昔、お茶畑で調査をした時、ハダニ
の密度が非常に低いのに、ようやく見つけたハダニ寄生葉に、必ず
ケナガカブリダニがいるので、どうやってたどり着けるのか不思議で
したが、この理屈を聞いて「さもありなん」と納得しました。
このような匂い物質が構造式も明らかになり、合成までされている
そうで、害虫防除に利用される日も以外と近いのかも知れません。
どなたか、情報提供をいただけると有り難いのですが、中央農研
センターの下田さんあたりいかがでしょうか(IPMメンバーに入って
いるかどうか判りませんが)。
私が知りたいことは①合成されている物質は沢山あるのか?
②植物によって出す物質は異なるのか?③1つの植物でも付く
害虫の種類によって違った物質を出すのか?④天敵側としては
一つの匂い物質に捕食性、寄生性の両方の天敵が誘引される
ことはあるのか?といった素朴な質問です。

カブリダニを飼育する上での苦労は何かとのご質問ですが、
また少し長くなるかも知れません。
カブリダニを安定的に長期に飼育しようとすると、①植物の育成
(インゲンマメを定期的に播種)②ハダニの増殖(ナミハダニ)
③カブリダニの増殖(別室でバットに水張り、スポンジ上で飼育)
の3行程をトラブル無く回す必要があります。
それぞれの行程でのトラブルは以下のとおりです。
①では、ハダニ以外の害虫(アザミウマ、コナジラミ、アブラムシ)を
発生させないことが一番です。むやみに薬剤を撒けないので。
②では、ハダニ増殖中にカブリダニ(飼育中のもの、野外発生の
ものどちらも可能性あり)が侵入して増えることです。気が付いたとき
は手遅れで、一からやり直ししたことが何度かありました。上の匂い
に誘引されて入り込むのでしょう。私は危険分散のため、2ヶ所で
ハダニを増殖しています。
③では、低湿度にならないよう同型のバットを被せて調節します。
60%以下の湿度が続くと卵のふ化率、幼虫の発育率が落ちます。
もう一つはカブリダニが高密度になりすぎないよう注意することです。
高密度の飢餓状態が長期間続くと産卵出来ない雌ばかりになって、
個体群が絶えてしまうことがあります。私は維持だけの時は早めに
一葉だけ残して、新しいバットに移し替えるようにしています。
以上の方法は施設や装置がないと長期飼育は難しいので、
藤澤さんの参考にはあまりならないかも知れませんね。。
長くなりましたので、この辺でひとまず終わります。
カブリダニの天敵等の話は次回(明日にでも)に致します。
では、失礼します。

----- Original Message ----- 
From: "Shizuo FUJISAWA" <sizuo@tokai.or.jp>
To: <IPM@ml.affrc.go.jp>
Sent: Saturday, February 26, 2005 9:10 PM
Subject: [IPM:1506] Re: カブリダニ


> 浜村様、皆様
>  苺農家の藤澤です
> 
> いろいろと面白い話をありがとうございます。
> いつも解答を「へぇ!そうなんだ。」と感心しながら読ませていた
> だいています。
> デジェネランスカブリダニは、まだ見たことがないので本物を見て
> みたいと思いました。
> 土着のカブリダニも本物を見ることができると自分のカブリダニの
> 知識が深まると思いました。
> 
> それと匂いの事を読んで、ハダニにも良い匂いの物と嫌な匂いの物
> でも有るのかなあ??と、ミヤコが住みつきやすい繁殖しやすいハダニ
> となかなか増えて行かないハダニの部分があります。
> 嫌な匂いのハダニでもいるのではないのかと思いたくなりました。
> まさか、カブリダニの天敵が発生したかな? 
> 
> 試験場でカブリダニを飼っていて苦労する事って何かありますか?
> カブリダニの病気や天敵ってあるのでしょうか?
> お忙しいのに申し訳ありません。時間があったら教えてください。
> 宜しくお願いします。
> 
> 
> (静岡県三島市 苺農家 藤澤 鎭生)
> 
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> 
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