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[IPM:1664] ケナガカブリダ ニの休眠



藤澤様・皆様

東海物産の浜村です。
藤澤さんの天敵の休眠についての質問に数人の方から解答がありましたが、私が昔
やったケナガカブリダニの事例を書いておきます。こういうのを書く時にはどのよう
な人を対象にして書くか悩ましいのですが、一応、昆虫学とかを専門に学んでいない
人やカブリダニには詳しくない人を念頭に、それでも判るように書きたいと思ってい
ます。

ケナガカブリダニの予備知識;日本の土着カブリダニの中では最もポピュラーで(最
近、ミヤコカブリダニに押され気味とも聞きますが)、各種作物でハダニ防除に有効
に働いている。特にお茶では普遍的に発生する。

休眠; 雌成虫で休眠越冬する。休眠雌は体が細く、産卵をストップする。体型は成
熟直後の雌と変わりないが、色はやや濃くなり、あめ色に近い。寒さと絶食に強い。
本種の休眠で最も特徴的なのは、産卵している雌成虫も秋の低温短日を感じて、大挙
して休眠する点である。一般に昆虫の休眠はどこかのステージだけで感じて、あとの
ステージで休眠する場合がほとんどですが、カブリダニのように発育が速い生物で
は、十分に栄養を取っている雌成虫が産卵を止めて休眠するのは大変合理的かと思わ
れる。休眠覚醒にも日長が影響し、20℃の長日条件では、すぐに覚醒するが、短日で
は長期間休眠が持続する。休眠に入った雌成虫が、秋の異常高温などで、簡単に休眠
がさめないような機構と考えられます。
文献;浜村徹三(1982)ケナガカブリダニの休眠に関する研究 果樹試報E−
4、77−89.
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