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[IPM:2088] 米国の有機農業



皆さま
あと2回寝るとお正月です。個人的にはよい年をお迎えくださ
い。さて以下のような情報を年玉がわりにお届けします。

米国の有機農業
カ大サンタクルス校の村本譲司さんが、送ってくださった論文
コピーに有機と慣行農法による水田昆虫相の比較調査がありま
す。皆さんにも興味があると思うのでコメントをいれて紹介し
ます。カ州4軒の稲作農家の慣行田(平均120ha)と有機田(45ha)
の比較です。農家は危険分散から農地の3/4は慣行に、1/4
を有機にあてています。注目点は1)農家の保有面積が日本の1.8ha
の100倍に近いこと。2)すべて直播き栽培のため、日本ではた
だの虫ないしは益虫扱いのカブトエビ、ユスリカが活着初期害
虫である。4)分げつ期以降では、イネミズゾウムシ、イネヒ
メハモグリバエ、アワヨトウ、それに日本にいないヨコバイと
ヨトウの1種です。4)日本との違いは、重要害虫として、メイ
チュウ類、ウンカ類、ウンカ・ヨコバイ媒介性のウイルス病が
存在しないことです。このような条件下での2年間の比較調査
では、害虫密度は何れの農法でも要防除密度には達しなかった
。ただし「ただの虫」の密度は有機で高かった。種数は他の研
究報告では有機の方が多いのに、この調査では変わらなかった
。米国での有機稲作は、日本でよりも害虫が少ないなどの環境
条件に恵まれているといえます。全面有機にしないのは、病害
虫が発生した時、有効な防除手段がないためだという結論でし
た。
Hesler,L., A.A.Grigarick, M.J.Oraze & A.T.Palrang(1993)
Fauna of conventional and oraganic rice field in
California. J.eco. entomol. 86:149-158.




桐谷圭治

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