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[IPM:520] RE: はじめまして
木村貴好 さま、みなさま
私も日が短く、偉そうに言える立場ではないのですが、ひとつ気になることがある
ので、お手紙させて頂きます。
> さて、今年の夏は、食品への異物混入が多く取り上げられ、(漬物)メーカーか
らの
>返品も多く、そのしわ寄せが農薬による防除の徹底ということで、生産者に
>かえって参りました.
> 混入した昆虫の同定を会社に頼まれるのですが、クレームの中には、寄生蜂や、
>ヒラタアブの幼虫や蛹など、天敵も含まれているのが現状です.
>
> 天敵による防除ということは、これから進めてゆきたいと思っていますが、
>消費者やメーカーにとっては、害虫と扱いがかわらなくなってしまうようです.
>
> 私は、やはり天敵利用に関しては消費者やメーカーへの理解も同時に進め
>てゆかなくてはと思いますが、このような反応に対して、皆様はどう考えられ
>るでしょうか。これは、害虫の許容レベルと同じ問題かもしれませんが、
>今回は、天敵に関する反応の紹介と、もしご意見あれば、よろしくお願い
>いたします。それでは、失礼致します.
異物混入については、私は(バラ農家ということもあり)、耳に聞き流していた感
じでしたが、ただ、缶詰の中のイモリと、キムチの中の青虫を同じ『異物』として当
たり前に報道され、それに誰も異を挟まなかったのには、正直ものすごい違和感を感
じていました。考えてみれば、自家野菜の菜っぱの中に青虫を入れたままゆでたり、
漬け物にしたりしてしまうことはままあることではないでしょうか。常識的に、毒物
でも、間違って食べても多分食中毒をおこすこともないそれらの虫を見つけても、た
だ虫をどかして食べればいいのにと、我々生産者は感じるのです。
これに似た話が、自然物といわれる薬剤(?)に発がん性のタールなどが含まれるな
どということがありましたが、消費者の間違った認識に振り回されているところはま
まあります。農薬にしても、DDTや2-4-Dのような脂肪蓄積がされる薬品は多分事前に
はねられているでしょうに(水/オクタノール分配係数の問題)、そんな科学の進歩
は無視して、農薬はIGRもBTもすべて『農薬』とレッテルをはって同じ議論をされて
いるのは、現場の人間としてはフラストレーションを感じます。ましてや、天敵を、
クレームを付けるとは!ヒラタアブなんてあんなに可愛いのに。(話がそれてしまい
ました)
農薬メーカーも天敵メーカーも我々ももう少し正確な知識を一般の人たちにアピー
ルするべきじゃないでしょうか?何らかの分かりやすい方法で。そんな気がしていま
す。例えば、LD50 の値など、そんなに難しい指標ではないので、むしろ積極的に農
薬の袋に表示するべきだと私は思います。我々農家も参考になりますし。
木村さん、少し話がそれていたらごめんなさい。お気持ちよく分かります。農業技
術全般の出口の問題(消費者との接点)ですから、大変大きな問題だと思います。消
費者やメーカーへの理解も同時に進めてゆかなくてはという木村さんの認識はその通
りだと思います、がんばって下さい。
高松茂樹
rose@he.mirai.ne.jp