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[IPM:599] 中国天敵利用通信8
中国の天敵利用に関して今まで7回技術的な報告を紹介しました。MLの参加者には生産者や農薬目−か−の方も多い
ので,今回は中国における生物農薬の大量生産の現状と利用の状況を報告したものを紹介したいと思います。1,99
9年月4月の受付なので、1998年時点での状況と考えてよいと思います。
万 方浩ら 中国農科院生防所農業部作物病害虫草害生物防治資源研究利用重点実験室
中国における天敵昆虫の商業的生産の現状(1999)
現状:現在大規模生産が行われているのはキイロタマゴバチ,平腹小蜂だけで,他は研究途上である。134万haの施
設園芸の害虫防除に対して要望が強い.26−35万トンの農薬のうち70%は毒性の強いものであり,減少させる必要
がある.
650万トンの農業生産物のうち18.5%で汚染が見られるが,農薬の残留汚染は工業物質汚染に次いで問題である.
天敵の多様化:
作物 害虫 天敵 栽培面積 天敵使用 潜在需要
トウモロコシ アワノメイガ キイロタマゴバチ 2450 100 734
綿 オオタバコガ キイロタマゴバチ 472 0.02 47
アブラムシ アブラバチ
園芸施設 コナジラミなど テントウなど 70 0.001 7
蔬菜/花卉
りんご ハダニ カゲロウなど 299 0.01 30
サトウキビ メイガ キイロタマゴバチ 118 2 30
レイシ カメムシ 平腹小蜂 40 0.08 8
数字は万ha
大量生産における技術的進歩:
捕食性天敵の餌として,人工飼育キイロタマゴバチ蛹を用いる事によって,飼育効率天敵の能力が飛躍的に向上した
.
1995年から作られた大量生産工場の場所と飼育天敵
キイロタマゴバチ工場 吉林,遼寧,碩上(サクサン卵利用)
広東(人工卵利用)
エンカルシア,タマバエ 大慶市
捕食虫 北京・広東(キイロタマゴバチ蛹利用)
大量生産の為に期待されるブレ−クスル−:
半人工飼料の開発,行動制御,他のタマゴバチの大量生産,機械化,薬剤耐性天敵育種,虫質検定,放飼技術(IPM)
1980年と1984年に中国を訪問した時と比べあまり情勢が変わっている様子はないが,技術的な進歩は認められる。
特にキイロタマゴバチ蛹を餌とした捕食性天敵の大量生産には期待がもたれる。(高木感想)