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[IPM:1959] Re: クロヒョウタンカスミカメを見つけました



藤澤様
岡山農試の永井です。
三浦さんの回答は少し説明不足と思いましたので、気になる点を補足させていただき
ます。

先ず、イチゴのハウスにスカエボラを間作することはお勧めできません。理由とし
て、スカエボラはナスとの間作を考えて選抜した景観植物です。スカエボラは花粉が
多い植物で、この花粉を食べてヒラズハナアザミウマが大量に発生します。その後、
ヒラズハナアザミウマや花粉を餌にヒメハナカメムシが大発生します。しかし、私は
クロヒョウタンカスミカメをスカエボラで見たことはありません。ヒラズハナアザミ
ウマはイチゴでは害虫で、しかもヒメハナカメムシが増加してもイチゴではアザミウ
マの防除には役立たないと思います。

次に、同種の景観植物(スカエボラ、ローマンカモミール、バーベナ・タピアン)で
あっても露地と施設内では害虫の発生が全く異なります。施設内では特にアザミウ
マ、コナジラミ、ハダニなどが増えやすく、土着の天敵が活動しない時期にその傾向
がさらに強くなります。三浦さんの回答は多分露地での調査結果を基にされていると
思います。

些細なことですが、スカエボラは天敵を集める(誘引する)植物のでなくて、ヒメハ
ナカメムシが増えやすい植物です。天敵を集めるような植物を農作物の近くに間作す
ると、農作物から天敵を奪ってしまうように思います。害虫を誘引する植物なら有用
と思いますが。

最後に、バーベナ・タピアンにはツマグロアオカスミカメやウスモンミドリカスミカ
メが大発生します。これらカスミカメ類が加害するナスやキクなどが付近にあると被
害が発生しますので、バーベナ・タピアンを栽培しない方が良いと思います。

ついでですが、スカエボラは暖地では越冬できる可能性があります。栽培試験した場
所がいずれも冬期の最低気温が低い圃場であったので越冬できないとの結果になった
のではないかと思います。スカエボラは12月上旬まで岡山農試内の露地で生育してお
り、12月中旬に最低気温が0℃未満の日が数日連続して続いた時期を境に枯れ込んだ
ことや近中四農研の大谷さんの栽培試験の結果から考えて、最低気温が0℃以上ある
地域、九州、四国の平野部はで越冬できるのではないかと思います。

それでは、失礼いたします。

永井一哉

-----Original Message-----
From: Shizuo FUJISAWA [mailto:sizuo@xxxxxxxxxxx]
Sent: Saturday, October 04, 2008 8:59 AM
To: IPM@xxxxxxxxxxxxxx
Subject: [IPM:1958] Re: クロヒョウタンカスミカメを見つけました

三浦さん、どうもありがとうございます。
 苺農家の藤澤です。

> >宿根性バーベナは、天敵利用に有望な感じがしています。どうかな?
> 実ははるか5年前から
> 岡山大学、岡山農試、和歌山農試、みのる産業、近中四農研で
> どの花に天敵カメムシがよく来るのかを
> 調べました。
> −−−−−−−−−−−−−−−−
> スカエボラ、ローマンカモミール、バーベナ・タピアンおよびクローバーの4草種
を
> 栽培し天敵・害虫類の単位面積当たりの種構成および季節的消長を解析した結果、
> スカエボラは天敵ヒメハナカメムシ類の密度が他草種に比較して高く、害虫類の密
度が他草種より低かった。
> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
> という結果を得ました。
> つまり、他の草種も天敵を集めるけれど
> 害虫も集めました。
> それらを比較したところ、
> スカエボラが一番良かったと言うことになりました。

スカエボラをインターネットで検索すると、なかなか綺麗な花ですね。
庭に植えて置くと一石二鳥ですね。来年、挑戦してみたいと思います。
また、自宅の庭だけでなく公園の花壇や歩道にある花壇でもスカエボラが
使われるようになると、クロヒョウタンカスミカメを見つけやすくなるように
思いました。
この事を市の農政課の職員さんに話してみたのですが、天敵を理解してもらう事が
ネックかもしれない。と言われました。
その通りで、天敵を使って害虫を少なくする技術がメジャーな考え方になると良い
と思いました。


(静岡県三島市 苺農家 藤澤 鎭生)