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[IPM:323] Re 畑312 自然由来のもの



畑さん,IPMMLのみなさん

羽曳野田中寛です。

At 22:21 00/11/05 +0900, you wrote:
>・・・確かに、タールや、ホルマリンなどの有害成分は入って
>いるのでしょうが、私の全くの素人考えですが、他の成分が
>その危険性を抑制しているのではないかと思えるのです。
>これは、私の頭ではなく、肌で感じたものです。
$$$ 私個人としては否定しません。・・・というか,科学的な検証が
容易でないだけで,そういう状況がたくさん生じていると思われます。

$$$ 各種作物では発癌性物質がたくさん発見されていますが,逆に
発癌抑制物質もそれに劣らずたくさん発見されています。つまり,
発癌性云々だけを取り上げてしまうと,何も食えなくなるわけで(笑),
結局は,いろんなものをバランスよく,なにかにかたよらずに食べよう,
という話になってしまうわけです。

$$$ あと,病害虫が発生した植物では,それに対抗するために,
さまざまな化学物質を分泌することが知られています。そりゃ
そうでしょう。病害虫にやられっぱなしであった植物が進化の過程で
生き残っているとは思えません。今はやりの環境ホルモンについても
植物にはさまざまなものが含まれています。

$$$ 毒物学(私自身,詳しいことは知らないので,誰か補足して
もらえるとありがたいのですが・・・)の初歩ですが,全ての物質が薬か,
食物か,毒かは,ただただ量によって決まります。食塩でも砂糖でも
たくさん摂取すると死にます。環境への影響も同じく,量によって
きまります。

$$$ ただ,病害虫退治のために木酢や得体のしれない物質を
ぶっかけて(その実,ほとんど病害虫に効かない),無農薬栽培です!
というのは「盲信(迷信)」だと言いたかったのです。反論してくださった
おかげで次の話ができたので,嬉しく思います。

>こちらでは(奄美大島です)、古来魚毒性を持った植物の樹液を
>川に流してうなぎやさかなを獲っていたそうです。ですが、その、
>毒性は一時的なもので、すぐに分解され環境への悪影響は
>非常に少ないと古老が話していました。
$$$ まさに量によるんですよね。全体の量が自然の回復力に比べて
無視できればそれでいいのですが,無視できなくなると問題になって
法律で規制しなければ・・・,という話になってしまうのです。昔だって,
たぶん集落内でいろんな取り決めがあったはずです。その意味でも
人工物質と自然物質の間に本質的な差はないんですよね。量が多く
なったから,臭化メチルを地球という集落内で規制しなければならなく
なったのです。

$$$ 最後に一点。田中の話を全て信用しないでください。頭から信用
してしまうことは新たな盲信・迷信を作ります。多様な人がいるから,
さまざまな行き過ぎがチェックされるわけで,畑さんも田中もその点で
全く同等です。科学は世の中のあまりにもわずかのことしか明らかに
しておらず,われわれはその範囲でさまざまなものごとに対処して
いかなければなりません。間違っていたら素直にやりなおす。科学と
盲信の違いは検証しようと努力するかどうか,に過ぎません。科学
万能主義も「盲信」です(爆)。いつ現在の科学常識がひっくり返るか
わらかないもの・・・。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室(主任研究員)
(兼)大阪府立大学連携大学院(客員教授)
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内232)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
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