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[IPM:665] Re 山下658廃油& 椿油粕天敵がらみ



山下さん,IPMMLのみなさん

羽曳野田中寛です。

At 08:11 01/03/27 +0900, you wrote:
>イネミズゾウムシなどの大きさになると、粘着くんなど、
>効かないだろうなと思いつつ、前回の質問したのですが、
>大きさの問題じゃなく、彼らは、畦草の影に潜んでいるで
>しょうから、ダメージを受けるほど(被膜を張るほど)散布
>するのが難しいということなんですね。
$$$ はい。ちょっと舌足らずでしたけど,水を張って油を流し,
はたき落として溺れさせるほうが(昔ならば(笑))実際的です。
ウンカの注油駆除法(ホントに凄いアイデアですよね;虫を
よく観察しないと出てこないアイデアです)もウンカの気門を
油で直接覆うやり方ではありません。油がなければ水面から
飛び上がったり,稲に這い上がったりしますが,油があると
表面張力の問題で溺れてしまう,ようです(実際に試験と
観察をしたことがないので迫力がなくてごめんなさい)。

>ところが、ここからが問題なのですが、その西藤さん、
>抑草効果(商品効果)を高めるため、ペレットの原料に、
>椿油の絞り粕を、去年から、添加したのです。使った方の
>一人に、感想を聞いてみたところ、「皆殺し」の世界だった
>そうです。オタマジャクシも、豊年エビも、ミジンコも、、、
>みーんなみーんないなくなってしまったそうです。いやいや、
>「除草剤を使わない稲つくり」の世界でも、いろいろあります。
$$$ 椿油粕は結構流行していますが(実はスクミリンゴガイに
非常によく効く),成分はサポニンで,強烈な魚毒性があり,
たぶん地域で一斉に使うと下流でサカナが浮くでしょう。茶実粕も
同じです(お茶と椿は近縁です)。上のような試験は一度やって
みたかったのですが(魚毒性が高いと言っても,なかなか納得
してもらえないから・・・),なかなかできるものではありません。
本当にありがたい情報(天敵を含む周辺生物に関する情報と
しても)です。

$$$ 田中はここしばらく,民間薬のイチャモン側にばかり回って
いますが(どうしてもこの話になると役人の面が出てきてしまう),
除虫菊(合成ピレスロイドの先祖)だってニーム(アザチン剤の
先祖)だって,鯨油・灯油(マシン油や粘着くんやオレートの
先祖)も民間薬から出発しているのです。

$$$ (農薬取締法の問題はあるけれど(笑))失敗は成功の
モトだから・・・。むしろ,その後の「観察の鋭さ」に敬服します。
この観察の鋭さはウンカ注油駆除法を編み出した江戸篤農家の
流れなのでしょうね。

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田中 寛 (たなか ひろし)
大阪府立農林技術センター病虫室
(兼)大阪府立大学連携大学院
〒583-0862 羽曳野市尺度442
Phone: 0729-58-6551(内232)
Fax: 0729-56-9691
E-mail: hiroshi-habikino.tanaka@nifty.ne.jp
Business page: http://homepage2.nifty.com/hiroshi-habikino/
天敵カルテ: https://tenteki.cgk2.affrc.go.jp/
農林害虫防除研究会大阪大会:http://www.affrc.go.jp:8001/agroipm/oosaka.html
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