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[IPM:1816] Re: オオタバコガ
藤澤様・皆様
東海物産の浜村です。
藤澤さんとは縁があるのか、今回のオオタバコガの質問にもほっかぶりした
ままでは、いけない立場かなと思いメールを差し上げます。
オオタバコガが大発生した1994,95年の直後に、その対策のためのプロジェクト
研究が平成9〜11年に行われ、その取りまとめ責任者にさせられ、まとめの報告
を雑誌等にも書きましたので、立場というのはそんなことです。
フェロモントラップの誘殺データは多くの県から提供していただき、4年分をまとめ
ました。植物防疫52:407−413.(1998)が最初で他にも2,3あります。
トラップの調査間隔が、半旬、週、10日とまちまちでしたので、年間の誘殺数で
発生の過多を比較しました。最多で2300個体くらいでした。発生時期を半年と
仮定すると一日平均12〜13個体となります。発生消長のグラフ(ごく一部しか
示さなかった)から読むと、ピーク時は20〜100(週または旬当たり)のようです。
(藤澤さんには後で、コピーをお送りします)。
そんなことから考えると、藤澤さんの一日当たり10数個体はかなり多めの発生かと
思います。なお、害虫の発生程度は甚、多、中、少、無の5段階で表すようです。
藤澤さんのトラップに入った雄がどこから来たかが問題で、藤澤さんのイチゴを
食べて育った虫とすると大変な被害が出ていると思います。それ程でもなければ
周辺から来たものと考えられます。いずれにしても、オオタバコガの密度が高くなって
いることは確かで、十分な注意と対策が必要と思います。
フェロモン剤による交信撹乱ですが、前のメールにあった「ソルゴーにチューブ
を付けて雄を集め」の記述を見ると藤澤さんの考え方を整理していただく必要が
あるように思います。おこがましいですが、フェロモン利用について一席。
フェロモントラップ;処女雌の出すフェロモン(の主成分)に雄が集まる行動を
利用して、成虫の密度を推測し、発生予察に利用する。
これを利用して大量に雄を誘殺し、雌の交尾ができないようにしようと
の考えで、大量誘殺法がハスモンヨトウで実施された(現在も登録はある)。
しかし、その後の研究で交信撹乱法の方が効果が高いことが明らかに
なり、以後のフェロモン防除剤はいずれも交信撹乱剤になった。
交信撹乱剤;圃場または地域をフェロモンで充満し、処女雌が交尾をしようと
フェロモンを出しても、雄がそこにたどり着けないため、次の世代ができない
ようにするものです。効果はこの一点ということを良く認識して下さい。
藤澤さんのところで羽化した処女雌のみに効果があるわけで、よそで交尾した
雌が飛び込むような状況では効果は期待できないということです。
以上の点から考えますと、関塚さんの言われるように、第一は防虫ネット、第二
は選択性殺虫剤(BT、IGRなどカブリダニに影響なくチョウ目に有効な薬剤は結構
あります)、第3というか補助的にフェロモン剤という感じかと思います。
また長くなってしまいました。では、では。
----- Original Message -----
From: "Shizuo FUJISAWA" <sizuo@xxxxxxxxxxx>
To: <IPM@xxxxxxxxxxxxxx>
Sent: Thursday, September 21, 2006 10:11 PM
Subject: [IPM:1815] Re: オオタバコガ
関塚さん、どうもありがとうございます。
苺農家の藤澤です
苺で交信攪乱剤の使用ができると良いのですが。
オオタバコガは、年を追うごとに少しづつ増えてきているような気がします。
前にも書きましたが、今年初めてトラップと取り付けてみて、オオタバコガの
確認ができました。
手でつぶすには、ちょっと多そうであり対策を考えねば・・・。
チューブタイプの交信攪乱剤は、防除所の指導の元で使用すると聞きました。
その使い方は、難しいのかな?
BT剤も何を使ったらいいのか、調べてみようと思っています。
(静岡県三島市 苺農家 藤澤 鎭生 sizuo@xxxxxxxxxxx )